臆病な自尊心と部屋とYシャツと私

音楽の事を主に書きます。

2020年 音楽ベスト

お久しぶりです。
お久しぶりのブログ投稿です。

久しぶりすぎて僕がかつてブログをちょこっと書いていたことなんて皆さん忘れてしまったのではないでしょうか。

僕はそれなりに元気ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
年末なので実家に帰ってきましたが、あまりやることもないのでこうしてブログを書こうと思っています。

思えば2020年という年は、無の年だったかと思います。

ライブはことごとく延期・中止になり、フェスはほぼ全滅、スタジオに集まるのもままならない状況だったのではないかと思います。僕は7割ぐらいは部屋にいたんじゃないかと思うぐらいどこにも行けなかった年でした。
(心の均衡を保つため、この期間に僕はApexとカレーにハマりました。)

コロナウイルスという驚異が世間を席巻していた2020年、ライブ活動はほとんど延期に追い込まれ、もはや何が正解でどれが不正解なのかもわからない状況の中、この年に新作をリリースしてくれたアーティストにはホントに感謝しかないです。

例年以上に、辛く長い1年だったと思いますが、
例年以上に、僕は音楽に救われた年だったと思います。

前置きはこれぐらいにして、今年僕が聞いた新譜について、感想的なものをつらつらと書いていこうかと思います。
よろしければお付き合いいただけますと幸いです。12枚ぐらいあります。

Charlotte is Mine/SOMEDAY IN THE BREAKFAST

東京の女性SSW、nana furuyaさんのソロプロジェクトとなっているCharlotte is Mineのセカンドアルバム。前作「IN SOMEWHERE NIGHT」から1年ぶりのアルバムとなります。

僕はまだCharlotte is Mineでのライブは見たことがないのですが、昨年11月のIIOIの来日弾き語りライブでの新宿NINE SPICEでのOpening Actで演奏されておられたのをよく覚えています。早くバンドセットでのライブが見たい…。

海外のエモ/インディーロックに強く影響を受けたであろう明るさの中に少しの寂しさを感じさせる楽曲、シンセポップやドリームポップのような思わず口ずさみたくなるような浮遊感のあるメロディライン、そしてガラス細工を透過する日差しのような温かで透明な歌声。

まだ眠っていたいけど起きなければならない、冬の朝の温かい布団の中から連れ出してくれるような最高のポップアルバムです。

個人的にお気に入りの曲は「群青」で、YouTubeにはデモ音源も公開されているのですが、デモの時点ですでに完成度がメチャクチャ高いので是非聴いてから音源版を聴いてもらいたい。


群青 (demo) - Charlotte is Mine

 

 

Into It,Over It./Figure

皆さんご存じUSインディー/エモリバイバルの最重要人物、いいと思ったエモ/マスバンドには大体参加していることでおなじみ、Evan Weissのソロワーク、Into It,Over Itの待望の新作がついに今年リリースされました。

今作も歌心溢れる、聴いた人々をハッピーにさせる楽曲、すべてにおいて隙がありません。めちゃくちゃ楽しそうに演奏する光景が目に浮かぶようです。
ギター難しいことしてるのに、それを感じさせない演奏力も圧巻ですね。

今までの作品だと「Proper」が一番好きだったんですが、更新されちゃいましたね。

アンサンブルのアレンジ、感情を頂点までもっていく高揚感のある歌声・構成、どれをとっても一級品です。みんなに聴いてほしい。

「Courtesy Greeting」とかもうライブで見たい。早く見たい。

IIOIは弾き語りで来日している2回を見に行っていて、超絶技巧ギターを弾きながら、ハンパなくウマい歌をニコニコしながら歌っていたのがとても印象に残っています。
バンドセット早く見たい…。

「超サイコー」


Into It. Over It. - "We Prefer Indoors" (official video)

 

Lostage/HARVEST

現在進行形でカッコよさを更新し続けるジャパニーズロックバンドfrom奈良ことLostageの待望の新作です。

こちらフィジカルで出す前に、コロナ真っ只中の5月に先行でBandcampにてリリースされていたものですね。ほんとにあの時は救われました。パソコンの前で泣きました。

今作からVo/Baだった五味岳久さんが今作からVo/Gtとなり、ベースは新メンバーを迎え4人体制となって初のアルバムです。

昨年の年末のNeverland忘年会に行ったときには、すでに何曲か演奏されていて、とてつもなく楽しみだったのですが、期待を上回るクオリティでお届けしてくれましたね…。一家に一枚HARVEST。

Lostage史上、歌が、最も優しいアルバムだと思います。

「グレイアイドフィッシュ」はコロナとか言われる前に作られていた曲だったと思うのですが、サビの一節は今の僕たちに必要な言葉だったのではないでしょうか。少なくとも僕は救われました。

滲む孤独を 溢れ出した苛立ちを
洗い流してくれよう
あなた、わたし、きみとぼくの

 なお、ストリーミングでは配信していないので、CDを買おう。

LOSTAGE / HARVEST ( CD ) - THROAT RECORDS

僕はLP買いそびれてしまったので、再プレスを待ちます。

 

Owen/The Avalanches

これはもう説明不要かと思いますが、レジェンドエモバンドAmerican Footballの中心人物、というかエモと呼ばれるジャンルを語る上で絶対に外せない最重要人物、Mike KinsellaのソロユニットOwenの新作です。

解説記事とかを読んでいると、結婚とその崩壊について語られているとのことですが、僕は英語がわからないので歌詞については分かりません。いつかはちゃんと理解できるようになりたい。

Mike Kinselaといえば変則チューニングから繰り出される美しいクリーンアルペジオが特筆されますが、本作もそれを十二分に味わうことができます。

この美しい旋律と憂いを帯びたボーカルが合わさることによって、凪いだ海のように穏やかな、それでいて孤独を感じるような冷たさがあるような、そんな印象を受けます。
音だけで泣ける。

American Footballも2020年来日する予定だったんですが、次回はいつになることやら…。早く生で拝みたいものです。

 

 

Tago & Magos/So! Fun? Now!

昨年から僕は転勤で福井に住んでいるのですが、引っ越した当初ぐらいにTwitterで知った福井のバンド、Tago & Magosの待望の1stアルバムです。

メンバー全員音楽好きなので、もう作る曲に関しては間違いないですよね。
SUPERCARのような男女コーラスもあり、海外インディーロック感もあり、サイケなギターリフもあり…。
多種多様な音楽が混ざり合った結果としてインディーロックっぽくなってしまったというバンド紹介も納得な、広大な音楽的バックボーンを感じさせてくれるアルバムとなっていると思います。

全体的にポップで聴きやすいのですが、ところどころ「そう来るか!」というフックがちりばめられているので、明るいおもちゃ箱みたいな印象を受けます。聴いてて楽しい。

また、タゴマゴはライブがメチャクチャいいので、いろいろ落ち着いたら皆さん福井まで見に来ましょう。
どれぐらいいいかというと、オーディション勝ち抜いてりんご音楽祭にも出演するぐらいいいです。


Tago&Magos『net surfin'』@りんご音楽祭2019


Tago&Magos 「Saturday Kids」Official Music Video

 

Pygmy I’m cricket/this morning e.p.

東京を中心に活動するインディー/エモバンド、Pygmy I’m cricketの待望の新作です。

前作「Separation e.p.」からさらにブラッシュアップし、クオリティがさらに上がっています。出会えたことに感謝…。

エモ/ポストロックを基調としたギターサウンドに、歌心あるボーカルが乗っかてくる。bedやClimb The Mind、CARD、Hello Hawkなどのジャパニーズエモバンドたちの影響を感じさせつつ、PenfoldやAmerican Footballのような美しく歌心のあるメロディが合わさり、もう脱帽するしかありません。僕がやりたかったですよう、こういうバンド…。

また、Gtを担当している齋藤翔馬さんの作詩についてもサウンドと非常にマッチしていています。

「青く時は巻き戻る」「白く焼けた空」「茜射す身体」などといったカラフルでノスタルジックなワードがちりばめられており、鮮やかな風景が目の前に広がっていきます。また、一貫して記されていると思われる「孤独な自分」というテーマとの対比によってより一層浮かび上がってくる、もう戻れない昔日に思いを馳せ、切なさで胸いっぱいになります。個人的な感想。

どこか諦念と達観を含んだ日本語詞とエモーショナルなアンサンブルが組み合わさって、聴き手を感情の海へ放り出してしまいます。

早くライブを見に行きたいですね。


Pygmy I'm cricket ″明るい庭″【MV】

CDはHoliday! Recordsで売っているので買いましょう。

holiday2014.thebase.in

Sorry/925

今年初めて聞いたUKインディーロックユニット、Sorryの1stアルバムです。
バンド名の意味は特にないそうです。

最初に聴いた時の感想としては「The Killsみたいだなあ」ということを思っていたのですが、所属レーベルがArctic MonkeysとかThe Killsが所属するドミノレコーズだというので納得ですね。

アルバムを通して、一貫して怪しげな印象がありますが、グランジオルタナ、ローファイ、ヒップホップなど多様な音楽性を内包しているように感じられ、聴くたびに新たな発見があるようなアルバムとなっております。

男女ボーカルでダークな印象があると、大体Sonic Youthが思い浮かんでしまいますね。

ただ、現在海外ではBillie Eilishみたいなダークポップが評価されているような感じだと思っているので、今後売れていくかもしれないですね。むしろ売れてほしい。めちゃくちゃかっこいいので。

これからがとても楽しみなアーティストです。

 

BBHF/南下する青年

BBHF(Bird Bear Hare and Fish)の待望の2ndアルバムです。これGalileo Galilei時代から考えても最高傑作なんじゃないでしょうか。

前作のMoon Bootsに関しては、これもかなりいいアルバムだったんですが、どちらかといえば邦楽っぽさが強いような印象を受けました。本作はThe 1975のような海外のバンドシーンで鳴っているようなサウンドの仕上がりになっていて驚愕しましたね…。日本語でここまでできるのか。

Galileo Galileiのラストアルバム、Sea and The Darknessから地続きになっている入魂のアルバムになっていると感じました。

彼らがメジャーシーンで音楽的にこだわった作品を作り続けてくれることが、僕にとっての日本の音楽シーンの希望です。

また、「南下する青年」というタイトル通り、「流氷」から始まり「太陽」で終わる、寒いところから暖かい場所へ移り変わっていくような楽曲構成となっているのも、青年と一緒に南へ旅をしているように感じられます。

長い冬が過ぎるのを待つのではなく、自ら暖かな場所へ進んでいこうというメッセージも作品を通して感じられて、勝手に勇気付けられています。

 


BBHF『君はさせてくれる』Lyric Video

 

 

SuiseiNoboAz/3020

向井秀徳プロデュース1stアルバム「SuiseiNoboAz」から10年、前作「liquid rainbow」から3年、冷凍都市の喧騒の中、僕たちを救ってくれるSuiseiNoboAzの新作です。

リードトラック「3020」を筆頭に、1000年後の未来について思いを馳せ、また時間は循環し2020年へ戻ってくる。本作は宇宙であると僕は思います。

前作で培った方法論、それをさらに進化させ深めてきたサウンドには説得力しかないです。

liquid rainbowは助けてくれないけれど、それでも僕たちは、3020年までずっと友達でいよう。いつか泥臭い川べりでビールを飲もう。

ボアズなりの優しさに溢れた、最高のアルバムだと思います。


SuiseiNoboAz / 3020

eastern youth/2020

日本最高峰のエモーショナルロックバンド、eastern youth通算18枚目のアルバムです。ニノさん脱退後からは2枚目のアルバムとなりますね。

世界の終わりのようなどうしようもない現状で、ナニクソと思わせるような轟音アルバムを届けてくれているeastern youthには感謝しかありません。

一切歌詞の中で、頑張ろうだとか頑張れだとかいうストレートな表現は一切使っていないのに、どこか寄り添ってくれているように感じます。
世界に対して無力である自分と、それでも続いていく生活の徒然を、跳ねのける様にヒリついた焦燥サウンドに乗せて歌っている、とてもeastern youthらしいアルバムとなっていると思います。最高。

時代感も相まって、最初聴いたときはマジで泣きます。
現代に必要なアーティストです。

そういえば、以前Outside Yoshino公演の時に、物販で吉野さんと少しお話をした時、Sunnがブッ壊れたから今はFender のThe Twinを使っているとおっしゃっておられて、Sunnユーザーの僕としては少し寂しくなりました。まあ、どうでもいい話ですが…。

これもサブスクリプションは無いので、CDを買いましょう。

https://www.amazon.co.jp/2020-eastern-youth/dp/B08C7772L1


eastern youth「今日も続いてゆく」 ミュージックビデオ

 

Discharming man/POLE & AUROLA

現行ジャパンオルタナティブの極北、北の大地から現実を見つめた無垢な歌を発信し続ける蛯名啓太率いるDischarming man5年ぶりのアルバムです。

轟音と轟音の隙間に差し込まれる静寂、メタル、ハードコア、エモなど様々な音楽を通過していることでしか出せない音像、説得力しかない。年の瀬にとんでもないアルバムが発売されましたね。

蛯名さんの紡ぐ言葉は僕たちを現実を突きつけ、鋭利に突き刺してきます。
ただ、それでも突き放すことはなく、その歌声は力強く、温かに寄り添ってくれます。

僕たちはこのままでいいのだろうか。
そう悩みながら生きていくとことが必要で重要であるという気持ちになります。

ライブ後に握手した蛯名さんの大きな掌を、今でも思い出します。


Discharming man -Discharming man (Official Music Video)

 

Climb The Mind/蕾

名古屋の至宝Climb The Mind、今年ついに4枚目となる新作「蕾」が発売されました。発売はもちろんStiff Slack。ジャパニーズエモーショナルロックの金字塔ですよ。

独立した短編小説のような1つ1つの歌詞、美しいアルペジオを奏で、時には激しく搔きむしるギター、縦横無尽に駆け回るベース、タイトかつアグレッシブなドラム、それらが複雑に絡み合っていき、聴き手はいつの間にか泣いています。

サウンド面はもちろんなのですが、僕が特に好きなのは歌詞の部分で、その一節ごとの完成度の高さには毎回驚いてしまいます。本作は特に唄が中心になっている気がします。

「言いそびれた終わりの一言は、いつも胸のどこか」(ヒューマンビーン)
「いつでも何度でも忘れられないから、悲しみを数えるたびに思い返してしまう」(アーチをくぐれば)
「翳りもないこの今日の空は、きれいな君の送りもの。翳りもないこの思い出は、最後の君の忘れ物。」(ペーパームーン)

いつかは誰しもに訪れてしまう別れ、涙をぬぐって僕たちは前に進んでいって、いつかはまた新しい出会いがある。ここでは「人生」が歌われているんだと思います。

アルバムを最初に聴いた時、感情の整理が追い付かなかったのは初めての経験でした。何回も聴いてどんどん良くなっていきます。「ほぞ2」と呼ばれているのにも納得です。

胸が苦しくなって、それでも聴いた後には洗い流されたように少し胸が軽くなる、本当にとても素晴らしいアルバムだと思います。今後僕はことあるごとに聴くアルバムとなるでしょう。みんな聴いて。

希くば、その岐路に立っててね、一緒に。(蕾)


Climb The Mind / 歩み


Climb The Mind / 灯火


Climb The Mind / つよがり

こちらもサブスクリプションはやっておりませんので、Stiff SlackでCDを購入しましょう。

www.stiffslack.shop

 

さて、ここまで長々とレビューらしきものにお付き合いいただいた方、誠にありがとうございました。
気づけば7,000文字近くになっていたので、自分でも驚きです。
虚無の年末を潰すために書いたこのブログですが、誰かの暇つぶしになれば幸いです。

2021年はどんな年になるでしょうね。

僕は自分のバンドであるalong the beachにて、そろそろ音源を出したいと思いながら早半年ぐらいが経過しておりますので、2021年内には何かしらの動きをする所存でございます。京都付近でドラムの知り合いがいる方がいらっしゃったら教えて下さい。ドラムが全然見つからないので…。

あと、そろそろ彼女ができるように努力したいです。頑張るしかない。誰かアドバイスを下さい。

ブログの次回更新は未定!
また気が向いたら何かしら更新します。

それでは、今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

シュレディンガーのナンバーガール~完結編~

2019.8.15

まさかのRISING SUN初日中止発表から約180日。

 

本当は石狩の地にて伝説の目撃者となるはずだったのに、

青春はあっけなく目の前を通り過ぎ、またもや僕を置いてけぼりにしてしまった

札幌市の好日山荘にて中止の連絡に膝から崩れ落ちたあの日から約半年。

 

2020.2.11

f:id:kamibuki:20200216030745j:plain

 

僕はナンバーガールを見るために名古屋シティーへいました。

 

念願叶い、ようやく僕自身の青春と対峙できた感想をつらつらと書いていこうと思います。

よろしければお付き合いください。

 

また、ナンバーガールのチケットを取っていただいた僕の大学の先輩、
本当にありがとうございました。

 

あと、僕と友達の、8月の北海道旅行とその顛末、
シュレディンガーナンバーガール~激闘編~」は気が向いたら書こうと思います。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2月11日、休日だというのに早く起きてしまった僕は、なぜかまず「けいおん!」の聖地巡礼をしていました。なぜだ。実家から近いからだ。

f:id:kamibuki:20200216030700j:plain

この時点でいかにテンパっていたかはわかっていただけると思います。

無意識のうちにノスタルジーが体に影響を与えこのような行動となってしまっていたようです。

朝っぱらから非常にセツナミーな気持ちになりながら、先輩と待ち合わせていたため、滋賀から名古屋に向かいました。約1時間20分、カーステレオから流れる「SCHOOL GIRL BYE BYE」を聴きながら、今日の夜のことに思いを馳せ、北東へと進路をとりました。

そして、14時ごろ栄にて合流し、「らけいこ」を食べに行こうとしたら営業終了していたので、コモであんかけスパゲッティのランチ(550円…安くて旨い)を食べ、大須あたりのレコード屋をぶらぶらとし、やがて時間になったのでZepp Nagoyaへと向かっておりました。

会場へ向かう道中、僕は今まで経験したことのないような、高揚感に身を包まれながら、僕は今までの人生、つまり僕とナンバーガールの関係性について考えておりました。

詳細は再結成時に書いたブログにて、これでもかというくらい書いているので省くとして、実は僕がナンバーガールを始めて聴いてからもう10年が経つのです。24歳なのにね。

中学生の時の、野球の練習の真っ暗な帰り道
高校生の時の、ラッシュアワーの満員の京阪電車
大学生の時の、バイト終わりの自分の部屋

僕はいつだってナンバーガールを聴いていたように思います。

まあ、やはり、青春とは切っても切れない関係であるなあ、と思いながら会場へ向かっていました。24歳なのにね。

そして、17時ごろ会場へ到着した僕が目撃したのは、Zepp Nagoyaを取り巻く長蛇の列…。ここにいる人たちがすべてナンバーガールを聴きに来ている。

ナンバーガール好きな人、どこにこんなにいたんですか。
隠れるの上手すぎませんか。

整理番号は大体600番ぐらい、普段行くライブの感覚だとすごく後ろに感じますが、今回はかなり呼ばれるのが早い。そりゃあ、1700人ぐらいのキャパですからねえ。

噂に聴いていたIDチェックを通り抜け、会場の中に入り、コインロッカーへ上着と荷物を預ける。僕はもちろんThis Is MUKAI SHUTOKUのTシャツ。これをナンバーガールのライブで着れる日が来るとは思いもしませんでしたよ。

車で帰らないといけなかったので、ジンジャーエールを買って飲み、こんな味だったけなあとか思いながら、開演を待つ。その間、先輩とはナンバーガールにあまり関係ない話をしながら待っていました。あと、たぶんテンションがおかしくなるだろうという事をあらかじめ言っておきました。

そして、18時を少し過ぎた頃、待ちに待った、半年間待ちに待った瞬間は訪れました。

 

暗転する会場、湧き上がる歓声、鳴り響くマーキームーン。

メンバーが順々に登場してくる。

各々では見覚えはある人達ばかり、でも、この4人が並んでいる。

デジタルの映像でしか見たことのなかった風景が、目の前に。

確かに現実なのに、どこか現実感のない風景。

脳が目の前の現実を処理しきれないまま、向井秀徳のMCが始まり、
最初にやる曲を頭が勝手に判断する。

やがて、中尾憲太郎のルードかつ直線的なベースが始まり、
確かなリアリティが鼓膜を突き刺す。

鉄の風が耳元を通り抜けていきました。

 

1.鉄風鋭くなって

まず、このあたりから透明少女ぐらいまではあまり記憶が定かではありません。
押し寄せるサウンドにただただ拳を突き上げていたような気がします。

数あるナンバーガールの曲の中でも、より多くの回数を聴いた曲。
彼らの鋭角サウンドの真骨頂。

それが目の前で繰り広げられている。正直、まだ信じられずにいました。

そうこうしているうちに曲が終わり、次の曲へ。

 

2.タッチ

殺・伐!(言っていたかは忘れました。)

立て続けに好きな曲が目の前で繰り広げられていく…。まあ全部好きなんですが。

触れることを恐れ、恐れ続けた結果今の僕があるような気がします。

なだれ込むように、絡みついてくるサウンドの数々。

まだこの時点でもわけもわからず叫んでいる状態でした。

 

3.ZEGEN VS UNDERCOVER

ヤバいさらにヤバい バリヤバい

イントロのアルペジオが始まった瞬間、鳥肌が全身を覆いました。
このあたりからようやく目の前の現実を受け入れ始められましたと思います。

この曲のサッポロのラストライブの前口上が好きすぎて、一時期ずっと練習していたことを思い出しました。聴いてもらえりゃ万々歳 そんな私は傾奇者。

全盛期のライブ映像と比べると、若干スピードも落ちたようにも感じますが、
そんなの関係ないとばかりの向井のシャウト。

間違いなくナンバーガールがそこにはいました。

 

4.EIGHT BEATER

EIGHT BEATER JAPANEAE STYLE…。
よみがえる性的衝動 繰り返される諸行無常…。

ナンバーガールの魅力がこれでもかと詰め込まれていると思っている1曲。

音の波が塊となって体に打ち付けられていく。
生で聴くとこんなにかっこいいんですね…。

アツレキ すれ違う心と心

僕もあなたも、エイトビーター。

 

5.IGGY POP FANCLUB

僕の青春の思い出ソングその1がいきなり来ました。
いきなり来すぎて心の準備ができませんでした。

高校生の時、友達からこの曲のコードを教えてもらい、ずっと家で練習していた曲。

友達の部屋の風景、一緒になってギターを弾いていた風景、
京阪電車の窓の外の風景、実家の部屋から見た風景
田んぼの脇を歩く、夕方の風景
イントロを聴いた瞬間、走馬灯のように遠く淡い記憶の中の映像が流れていきました。

忘れてた輪郭を、ちょっと思い出していたんです。
マジで何回聴いたかもわからない曲が目の前で繰り広げられている。
この時点で心のザワツキがとても大きくなってきました。

 

6.桜のダンス

性急なリズムと攻撃的なギターリフ。

ナンバーガールライブの定番曲がたたみかけられてきます。

脳裏に浮かぶのは、春の通学路。

城の堀にたまった水に映る桃色の風景。

当時、大学の軽音学部に入ったばかりで、大手を振ってナンバーガールの話ができることにテンションが上がりっぱなしだった当時の心境がよみがえってきました。

その大学で会った先輩と一緒に聴きに来ているのだから、奇遇なものですね。

 

 

7.透明少女

僕の青春の思い出ソングその2が来ました。もう無理。
MCはまさかの、「次の曲は透明少女です。ニカッ!」のみでいきなり始まりました。

その時点では僕も笑顔だったものの、サビでもう駄目でしたね。泣きました。

実は、大学に入ってからというものの、夏になれば夏っぽい写真をTwitterに、
「気づいたら 俺は なんとなく 夏だった」と投稿していました。
ナンバーガールの幻想を夏という季節に追い求めていたんですね。

無意識のうちに、サビを一緒に歌っていました。
そして、「気づいたら 俺は なんとなく 夏だった」と歌ったところで、
あふれだす涙が抑えられなくなりました。

思い出す、夏の日々、特に何もなかったけれど、夏の風景は僕には特別で、
雲の羅列、吸い込まれる青い空、むせかえるような温度、セミの声
その全てが瞬間に一度に思い出されて、僕は下を向いて泣いてしまいました。

悲しくないのに、泣くって初めてですね。感情が高ぶりすぎると泣いてしまうんだなあと思いました。

この曲は一生聴いていくのでしょうね。

 

8.YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING

彼女がナンバーガールを初めて聴いたのは、17歳の時でした。
僕がナンバーガールを初めて聴いたのは、14歳の時でした。

当時は「IGGY POP FANCLUBとなんか似ている曲やなあ」ぐらいしか思っていなかったのですが、年を取るたびにこの曲を聴くたびに胸のざわめきが大きくなっていくような気がします。

この曲はひさ子さんのギターがとても好きで、屈折した夏の風景が、妄想の少女の制服の風景が、目に浮かぶようでめちゃくちゃ好きなんですよね。

ナンバーガールが好きだと言っていたあの女の子は、今何をしているんでしょうね。

 

9.NUM AMI DUBTSZ

全国のエレクトリック混乱主義者のために作られた曲…。

田淵ひさ子のわけわからんギターソロをどうやって弾いているのか知りたくてバンドスコアを見たら、「フィーリングです」と書いてあった思い出がフィードバックされてしまいました。

コピバンするために歌詞を覚えないといけなかったので、当時バイトしていたTSUTAYAでコミックを返している時に口ずさみながら返していたので、端から見たら完全に不審者でしたね。

今日、この日に完璧に歌うために、あの日々があったのかもしれませんね。

ずっと胸に熱いものがこみ上げながら、小さな声で口ずさんでいました。

 

10.SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE

ここで殺人的なナンバーが来ましたよ。

再結成後のインタビューで、向井秀徳アコースティック&エレクトリックでこの曲やりすぎて、当時よりかなりテンポが遅くなってしまった、みたいな記事を読んだ覚えがあるのですが、僕はその点全然気にならなかったですね。

ナンバーガールの中でも、ギターリフがめちゃくちゃ好きな曲です。

鋭さがありながらも、どこか寂しさを感じさせる田淵ひさ子のギターが、
淡々と進むリズムギター、ドラム、ベイスに絡み合っていって、赤と黒の景色が目の前に広がる感じが最高ですよね。

「真夜中は何喰ってもうまい」

わかる。

 

11.DESTRUCTION BABY

U・S・録・音!!

今日1日の気持ちを端的に表すのはこの曲になるんでしょう。

コントロール不能でしたよ、この日の僕の気持ちは。

カウントをしたアヒト・イナザワははっきりと覚えています。

 

12.MANGA SICK

「それはマンガ病ですよ、アンタ」

なんかそんな感じのMCから始まったような記憶があります。

最初の歌が入る前の4拍ごとに刻むところ、「オイ!」と叫んでいたところ、
本当に夢なんじゃないかと思っていました。

死ぬほど聴いていた、ライブ盤の、あの光景が目の前で繰り広げられている。

そしてこの時思い出していたのは、中学生の時のカラオケの記憶。

女子も何人かいる前でこの曲をカラオケに入れて、歌い、その後変な空気にしてしまった僕ヘ、君は何も間違っていなかったと今は言えます。

このギターも練習したなあ…。

 

13.CIBBICOさん

初めて僕がコピーをしたナンバーガールの曲がここにきて…。

再結成後、初めて披露されたのが前日の大阪だったらしいので、とても僕はラッキーでしたね…。

向井秀徳がソロパートを弾いている、その光景だけでご飯が何杯でもいける。

友達の部屋でバンドスコアを見ながら、比較的わかりやすそうだったからと、ひたすらこの曲を練習していた記憶が再生されます。

田淵ひさ子が弾くギターリフ、ほとんどまったく同じポジションを弾いているだけなのに、なんでこんなに切ない気持ちになるんでしょうか。

行ったこともない街の風景が、なぜか浮かび上がってくるんですよね。

 

14.喂?

まさかライブでこの曲を聴くことができるとは…。

初期ナンバガの隠れた名曲、記録シリーズとかを聴いていないとわからないやつです。

ナンバーガールの中でも、青春っていう感じが特にするんですよね。

ギターと歌詞の感じが特に。

自分のことを僕と呼ぶあの娘は僕の部屋にはいなかったですが…。

 

15.U-REI

幽霊というタイトルなのに、夜ではなく夕暮れをイメージしてしまいます。なぜか。

「夕暮れ時間は赤い」というフレーズがめちゃくちゃ好きなんです。

夕暮れが赤いというのは当たり前なのですが、歌詞としてこれを入れることによって、
目の前に真っ赤な夕日が現れますよね。現れませんか。

夕暮れは僕をいつでも切なくさせてくれます。特にそれが夏だと特にですね。

 

16.TATOOあり

ナンバーガールを聴いた当初、僕は向井秀徳のワンマンバンドなのかなあと思っていました。

特にギターに関しては、当時あまり田淵ひさ子のすごさをわかっていませんでした。
(当時は9mm parabellum bulletが一番演奏のうまいバンドだと思っていた。)

しかし、YouTubeでこの「TATOOあり」のライブ動画を見て完全に考えが変わってしまいました。

早弾きなんてしなくても、カッコいいギターが弾けるんだと、感情が爆発するようなこの曲のギターソロに完全に心をやられてしまったのです。

この瞬間から、田淵ひさ子は僕のギターの神となりました。

この時、ライブ動画を見ていなかったら、僕はジャズマスターを買っていなかったし、そもそもここまで音楽にのめりこんではいなかったと思います。

そして、そんな曲が目の前で繰り広げられているなんて、本当に生きていてよかったと思った瞬間でした。

いつか、こんなギターソロを弾いてみたい。

 

17.水色革命

「SCHOOL GIRL BYE BYE」の「水色革命」だ!!!!

高校生の時、このアルバムを聴いてもあまりよさの分からなかった僕が、わからずとも好きだった曲、これも今日まさか聴けるとは思いませんでした。

この曲を聴くと目の前に青色がいっぱいに拡がっていきますね。

プロジェクションマッピングなんてなくても、目の前に、海が、空が、グラスに注がれたサイダーが、見える、僕には見えるぞ。

この曲が好きという人とは大体友達になれる。

「夢 かもね」

まさにその通りです。

 

18.日常に生きる少女

えらく長いイントロから始まり、ライブももう終盤なのだと思わせてしまう、
これまた、何度も聴いた曲が始まってしまいました。

この曲が生で聴けるという喜びと同時に、もうすぐライブが終わってしまうという悲しみが同時に襲ってきてしまい、とても複雑な気持ちでこの曲を聴いていました。

僕の学生時代の風景が、現れては消え、現れては消え、やがて、祭りは終わりへと近づいて行ってしまっているのです。

あと、この曲は終わり方がとても好きです。

唐突に終わる感じがナンバーガールだなあという感じです。

 

19.TRAMPOLINE GIRL

透明少女と並ぶくらいの、ナンバーガールの夏の名曲だと思っている曲です。

「背高草のざわざわっと それ以外聞こえない夏の静かな風景」

この一節を聴いただけで、目の前に若草色の、妄想の中の、草っぱらが広がっていってしまうのです。

この曲は、ナンバーガールの中でも特にキラキラしていますね。キラメキが段違いです。

僕はギターのアルペジオというのがとても好きなんですが、この曲のアルペジオは特に好きです。

また、同じGIRLつながりで、真っ昼間ガールもいつか聴いてみたいですね。

 

20.OMOIDE IN MY HEAD

「福岡市博多区から参りました、ナンバーガールです。ドラムス、アヒト・イナザワ

ああ、このフレーズを僕は人生において何回聴いたことでしょう。
そして、そんな何度も聴いたフレーズが、目の前で向井秀徳の口から発せられていました。

憧れ、熱中し、しかし触れることはできなかった、デジタルの映像を眺めていたあの頃の僕に言ってあげたい。君は確かにナンバーガールを見ることができるのだよと。

いやあ、泣きましたね。本日2回目の号泣です。

向井秀徳と、同時に「OMOIDE IN MY HEAD!」と一緒に叫んでいるという現実は、本当に夢のようでしたね。

ナンバーガールはOMOIDEの中の存在だけではなくて、しっかりと目の前に、確実にそこに存在していました。

ここまで来るのが、長かったなあ。

 

21.I Don't Know

OMOIDE IN MY HEADで終わりかと思いきや、最後に来ましたね…。
(感電の記憶と一緒だ…!)

最初にサッポロのラストライブの音源を聴いた僕からすれば、一番最初に聴いたナンバーガールの曲、それはライブ本編の最後の曲となっていました。

最初に聴いた、あの疾走感、ぐちゃぐちゃの感情をすべて鋭角サウンドへ変換したような鬼気迫る音像、それらがすべて目の前にありました。

いったんこれにて、ナンバーガールのライブは終了となり、会場にはアンコールが鳴り響くことになります。

 

En:1.転校生

アンコールに応え、メンバーがまたステージに姿を現します。

この時ほどアンコールを心待ちにした日はなかったでしょう。

さあ、1曲目は何をやってくれるのか、今か今か待っている僕をしり目に、向井秀徳アルペジオが流れていきます。

そして、ようやくあのイントロが流れてきた瞬間、「ここで転校生か!」と思ってしまいました。もちろんいい意味で。

いや、この曲めちゃくちゃカッコいいですよね。

ずっと僕は頭を振っていました。

そして、この後、向井秀徳はおもむろにギターを置いて、一人でヴァンヘイレンのJUMPを一人でやりだすんですが、それは本当に謎でした。静かに見守る他のメンバーという構図がとても面白く、爆笑してしまったのを覚えています。

 

En:2.KU~KI

「日差しの角度 ちょうどきて現れる映像」

「4時半から6時の間 中野の駅前ふらふら」

こんな感じのMCが始まった瞬間、僕はまさかと思っていました。

まさか、ここでナンバガでもあまり知られていないあの曲、記録シリーズのRARE & 珍トラック集に入っていたあの曲が来るんですか!?

半信半疑でMCが終わるのを待っていたら、マジでKU~KIが始まってしまいましたよ…。

ギターリフがとても好きです、口で一緒に歌いました、ギターリフを。

この時、僕はずっと笑っていたので、端から見たら気持ち悪いやつだと思います。

もうそれでもいいかなと思っていました。

ナンバーガールの魅力の一つである、夕方の情景の描写、それに伴うノスタルジーが凝縮されている屈指の名曲だと僕は思っています。

「ぽつんとお前がいたような 気がせんでもない」という歌詞に、僕の寂しさは込められています。

 

 

En:3.透明少女

「ママ~、ママ~、おかわり!」

とてもふざけたMCで始まったのは本日2回目の透明少女。

今回は泣かずに聴けました。ずっと笑顔で、目をキラキラさせながら聴いていました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

会場を出た後、次の日も仕事だったので早々に先輩と別れ、車で帰っている途中、あの夢みたいな時間を振り返って、涙目になりながら高速道路を走っていました。

家に着く前に、コンビニで、アサヒスーパードライと晩飯を買い、一人で「乾杯」とつぶやきながら、明日は仕事かあと、現実に引き戻されていました。

ただ、ナンバーガールは確かに存在したし、それを僕は目撃した。

この目で見るまで再結成は信じられなかったんですが、ようやく信じることができました。

今も、ナンバーガールの曲を聴きながら泣きそうになってしまいます。

人間というのは欲張りなもので、1回聴いてしまうと、次はあの曲が聴きたいなどと、贅沢にも思ってしまいます。

そして、そう思えるのはとても素敵なことだなあと、僕は思ってしまいます。

確かにナンバーガールは存在していました。

僕の青春が、僕の人生が、確かにあそこにはあったと、断言できます。

あの頃の僕に、今日のことを話したら、どんな顔をするのでしょうか。

きっと、「嘘つけ」と笑い飛ばしてしまうのでしょうね。

 

またキンミヤを飲みながら、この文章を書いています。

 

そして、やはり、しばらくは、ナンバーガールばかりを聴くことになりそうです。



Galileo Galilei アルバムレビュー Part2~ハマナスの花~

前回のレビューからかなりの時間がたってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

僕は24歳になってしまいました。そして、福井の田んぼの真ん中に引っ越しました。

レコードが段ボール1箱じゃ収まらなくなってたのは、我ながら戦慄しましたね…。

 

この間に、Number Girlが再結成したり、自身のバンドがようやく結成できたりと、いろいろなことがありましたが、いいかげん文章を書かなければと思い、今机に向かっています。

ようやく落ち着きを取り戻してきたので、今回のレビューをやっていきます。

 

BBHF ライジングサン出ないかなあ。

 

さて、今回はGalileo Galileiのメジャーデビューミニアルバム

ハマナスの花」についてのレビューになります。

 

ハマナスの花(2010)

ãããã¹ã®è±

 

怒涛の快進撃でついにメジャーデビュー、メンバーは全員まだ10代、バンドドリームですね。(まあ、閃光ライオットの優勝でメジャー入りは確実だったのでしょう)

まだまだ、若さたっぷり、青さたっぷり、これぞ青春といえるようなサウンドをしていますが、前作「雨のちガリレオ」から、バンドサウンドとしてのまとまり・クオリティは格段に上がっていっていますね。

インディーズ時代の作品は良くも悪くも「荒削り」でありましたが、今作までの1年間でサウンドメイク・ソングライティングの向上、ハード面の充実もあり、どんどん磨かれてきているなという印象を、改めて聴いていて感じました。

そして、今作からは2代目ギターである岩井郁人(ex:Guild、FOLKS)が加入しています。

メジャーデビュー~PORTAL期にあたって、バンドのサウンドメイク面で大きな役割を果たしていたと思います。脱退後に結成したFOLKSとか聴くと、他メンバー3人と共通したもの(当時だと海外インディ―志向かな)を目指していたのだろうなという事がわかると思います。

最初に知り合ったのは、閃光ライオット北海道3次予選だったとのことだったので、北海道の音楽文化ってやっぱ独特だなってなりますね。そこが好き。

あと、このアルバムを聴くとき、僕はOasisの「Definitely Maybe」を思い出してしまいます。ロックスターとかOasisについての曲らしいですからね。(当時のGo!Go!Guitarのインタビューに載っていた気がする。)

全体的にUK色が強いアルバムなのかなと思います。

 

1.ハマナスの花

ロックンロールな初期衝動。確か、auのリスモのCMソングだったと思います。(このころのリスモ、選曲が良かったよね…)

「ハローグッバイ」や「管制塔」では、どちらかといえばギターはクリーントーンアルペジオって感じで、歌が中心にいたような感じでしたが、いきなり歪ませたギターリフをぶち込んできてますね。岩井君が加入したという事ももちろんあるのでしょうが、「俺たちはこれからやっていくぞ」という心意気が曲から伝わってきますね。そう思いませんか。

なんだか、どこか投げやりな歌詞も、ざらざらとした演奏と見事にマッチしています。このころから、自分たちのやりたかったことと、周囲とのギャップを感じていたのかもしれないですね。

この曲で地上波初登場という感じで、Mステにも初出演しており、僕的には超テンションが上がっていたのですが、周りにわかってくれる人が少なく、感動を共有できなかったのが悔やまれますね…。

サビでポップになるのが、目の前がぱっと明るくなるようで僕は好きです。

 

2.胸に手をあてて

いきなり、「僕はきっと大きなことをしてやろう」という一文。10代の頃なら誰だって思ったであろうことが端的に表されているなあ、と今聴いていていて思います。

具体的には何がやりたいとは思っていないんだけど、「有名になりてえ」とか「ちやほやされてえ」とか、絶対高校生の頃とかみんな妄想してたでしょ。隠さなくていいんだよ。

そんな、10代のモヤモヤを歌にしてくれるのは、このころのGalileo Galileiの魅力であったと思いますね。

前曲とは違い、サウンド面ではとっつきやすいポップな感じになっているんですが、わりと歌詞はジメジメしているというか、ある意味この時彼ら「夢」をかなえているという状況だと思いますが、わりと切羽詰まっている、生き急いでいるイメージを受けてしまうのは僕だけなんでしょうか。

何とか、目の前の壁をぶち壊したい、そんな破壊衝動がこの曲からは伝わってくるように僕は感じてしまいます。

それが、ロックンロールなのだと僕は思います。

 

3.Answer

Oasisi知ってる人なら、「Wonder Wallじゃん!」となってしまう曲の入り方。当時、僕はOasisまだそんなに聴いていなかったので、あまり感じませんでしたが、今聴くと、「ああ、Oasisだ…」となってしまいますね。

彼らのUKロックへの愛が炸裂している痛快な1曲に仕上がっていると思います。

そうして聴いてみると、バッキングのギターコードの広がり方というのは、すごいOasisっぽいかなと思ってします。何気にしっかりアコギをちゃんと取り入れているのはこの曲が初めてなのかもしれない。

「どうやったら僕たちは どこへでも行けるように なるんだろう」という1文は、青春映画の1シーンに出てきても遜色がないほどの、全国の10代が持っている普遍的な感情だと思うんですよね。僕たちがあの頃かかえていた、どうしようもない感情に対してのアンサーソングなのだと、僕は個人的に思っています。

どうやったって、答えは出ないし、それでも前に進んでいくしか選択肢はないんだという、そんなどうしようもないことを、こんな僕の大好きなサウンドに乗せられたら、もう胸がいっぱいになってしまいますよね。

初期Galileoの中でも屈指の名曲です。

 

4.フリーダム

 このアルバムでは一番とっつきやすい感じのサウンド、女性コーラスを効果的に取り入れている、このアルバムの中で1番ポップなんじゃないでしょうか。

今の場所は退屈で、春が訪れるとき特有の、なんとなく何でもできそうなあの気持ちでここから飛び出していこうぜと、当時北海道から東京に出てきた彼らの心境が一番反映されている曲だと思います。

「春風の魔法」というのが、何でもやってしまえそうなあの気持ちのことを表しているのだと、僕は思います。春が過ぎたら、いつの間にか消えてしまっていますものね。

個人的に、女性コーラスが入っているGalileoの曲はめちゃくちゃ好きなんですが、こちらに関しては、曲のテーマである「春」に非常にマッチしているといいますか、軽やかなChimaさんの歌声が頬を撫でる柔らかい春風のようです。

まさに、春へと移り変わろうとしている3月中旬ぐらいの時期に、ピッタリな曲です。

春風の魔法が解ける前に僕らも飛び出していかなければならないですね。

 

5.Ч・♂.P

デビューアルバムでいきなりインスト曲を入れてくるんですよこのバンド…。

読み方は「アメラブ」と読みます。尾崎兄弟の考案した「アメラブくん」というキャラクターの絵文字に上下逆にすれば見えるというのは、Galileo Galileiファンの皆さんならご存知ですよね。(僕は最近まで知らなかった。)

最初になんか気の抜けた「おねがいしゃーす」という声から始まるこの曲、人懐っこい印象的なギターリフからどんどん展開されていく曲の構成、他の曲と比べてラフな、一発どり感のあるサウンドメイキング、粗削りでありつつも緻密さを感じさせます。

めちゃくちゃ展開させるので、この曲が今作で最長の曲になっています。最高かよ。

不思議と気分が高揚してくる、テクニックで押し切るんではなくて、思い浮かんだ展開やリフをこれでもかと詰め込んでくるので、おもちゃ箱みたいで聴いていてとても面白いですよ。

インストあまり聴かない人にも聴いてほしい。そしてtoeとかにハマってほしい。

このあたりから、インスト曲を1作品ごとに何かしら入っていたりする時期が続き、シングルのカップリングにも必ずと言っていいほどインスト曲が入っていました。彼らのインスト曲も僕は大好きなので、いつかシングルの曲とかのレビューも書こうかな。

 

6.ロックスター

今作のラストの曲、ここで歌われているロックスターとは、たしかインタビューによればオアシスのリアム・ギャラガーとのことなのですが、各自自分の思うロックスターを心に浮かべて聴けばいいんじゃないかな。

ロックスターとは何なのか、それは概念であり、多くの場合はなりたくてもなれない、空想上の存在に近いものだと僕は思っています。

ライブでステージ上に立つ、音源の向こうでしか聴いたことのない演奏を生で見たとしても、それは白昼夢のようにいつの間にか終わり、記憶はやがて薄れて消えていってしまう。

そんな存在に自分自身がなれる、なれる可能性がある、というのが当時の彼らの状況だったと思います。

バンドマンからすれば、間違いなく大成功のプロセスをたどってきている初期Galileoですが、この曲からは、自分のあこがれの存在、「ロックスター」になれるかもしれないという高揚感と、本当に理想になれるのか、という不安が入り混じっているように思います。

 売れるためにはポップで万人受けするような曲を作らなければならない、しかし、自分の理想とするロックスターは万人のための音楽ではなく、自分のカッコいいと思うことを貫いている。

君(=自分の理想)と夢(=バンドで成功すること)を大事にできるか。

理想と現実のギャップについても歌われているのかなと僕は邪推してしまいます。

彼らの音楽的意識が高かったからこそ作られた葛藤の曲でもあるのかなと思います。

 

 

さて、お久しぶりのレビューでした。もっと更新の頻度を上げていかなければいけない、と思いつつ、曲作りをしているとついついそちらに時間を使ってしまいますね。

いよいよ暑くなってくる季節、彼らの楽曲が映える季節がやってきますね。

次回のレビューは1stフルアルバムであり、第1期終了の終了を告げる作品「パレード」の予定です。時期は未定!乞うご期待!

 

 

 

Number Girl 再結成に寄せて~僕のOMOIDE IN MY HEAD~

2月15日、少し早いお昼を済ませた後、何気なく僕はTwitterを見ていた。

タイムラインにあった文字は、よく見慣れたものであり、しかしここではさほど見ないものだった。

 

f:id:kamibuki:20190215232025j:plain

N u m b e r  G i r l  再 結 成

 

正直、自分の目が信じられなかった。会社で叫びそうになった。

夢を見ているのか。夢でなら何度も見た光景だ。

しかし、現実だった。あのNumber Girlが帰ってくる。

イヤホンの向こうから聴こえていた。デジタルの映像の向こうで演奏していた。

僕は体験することができなかった。Number Girlのライブを見ることができる。

Twitterでも連投しているけれど、やはり140字では足りない。

これは、Number Girlに、向井秀徳に、人生を狂わされた僕のOMOIDEの話です。

 

Number Girlとの出会いは中学2年生の頃だった。

当時の僕はアジカンを聴き始めていたこともあり、ロックというものに関心を持ち始めていた時でした。

友達から「これ聴いてみ」と言われ、「サッポロOMOIDE IN MY HEAD」のDisc1だけ貸してもらった。

それは、今までに聴いたことのない感じであり、それまでは、曲というものはボーカルがちゃんと聴こえていないとダメであるとか、歌詞にはメッセージ性がないとダメとか思っていた頃だったので、最初は「なんじゃこりゃ、変なバンドやなあ」と思っていたものです。

しかし、聴いていくうちに、なんとも言えない胸の内から湧き上がってくるような衝動を感じるようになっていった。まさに、センチメンタルという感覚をこの時に獲得したと思います。

最初は「アジカンも好きらしい」というミーハーなところからこのバンドを聴いていた。N・G・Sとかもあったしね。

いつの間にかウォークマンで聴くバンドはアクアタイムズとかグリーンとかから、ナンバガとかミッシェルとかアジカンとかになっていた。でも、ラッドとかバンプも普通に好きだった。

ただ、中学の頃はアルバムごとに聴くという事はしていなかった。ずっとサッポロのライブアルバムを聴いていた。どんな中学生だ。友達からはIGGY POP FANCLUBのコードを教えてもらってずっとそれを弾いていた

時は過ぎ、高校に進学して、友達とは別の高校に行った。僕は野球部だったので、会う回数は減ったが、高校でもNumber Girlを知っている友達ができた。そいつからは「School Girl Bye Bye」という、今まで聴いたことのないアルバムを貸してもらった。

今ではとても好きなアルバム、ことある毎に好きだと言っているのだが、最初に聴いた時はあんまりいい印象ではなかった。

IGGY POP FAN CLUBやOMOIDE IN MY HEADはライブから聴いていたので、CD音源は正直肩透かしを食らった気分になった。しかも歌詞カードは手書きでぐちゃぐちゃ書かれたものが印刷されている。インディーズの時だしこんなものかと思ってしまってもいた。

でもなぜか、いつの間にか僕の青春の1枚になっていたのが、このアルバムだったのです。好きになった経緯はもう覚えていない。いつの間にか、センチメンタル過剰なこのアルバムの虜となっていました。

しかし、野球部だったのでバンドを組むこともできず、僅かな自由時間と少ないお小遣いのなかからBOOK・OFFの500円コーナーでCDを買い漁り、家で安いギターをテキトーに引く日々だった。

思い返せば僕の青春時代は、プロ野球選手よりも向井秀徳に憧れてしまったし、甲子園に出ている同年代の高校球児より、閃光ライオットに出ているバンド達を見ていた。完全に入る部活を間違えてしまった感じでした。

それでも、野球をするのは楽しかったので、一応3年間続けました。途中ストレスから体に不調が出た時があるけどここでは割愛します。

本格的に音楽漬けになっていったのは僕が大学に合格した後からでした。

手始めに、ちょくちょく通っていた中古楽器屋さんで、フェンダージャパンのジャズマスターを買いました。もちろんサンバースト。

その3か月後、島村楽器でなぜか売っていたカスタムショップのジャズマスターを買いました。37万円でした。バイトを始めて2年かけて支払った…。こちらもサンバースト。

今考えても頭悪い買い方してますが、後悔は微塵もないです。ジャパンの方は手放してしまいましたが、カスタムショップの方は今でも愛用しています。

向井秀徳に憧れていましたが、ギタリストとしては「田淵ひさ子のあの音が出したい!!」の一心でした。しかし、あの音は出せません。たぶん、気合で出している。

一方、スタイルというか、外見やしゃべり方は向井秀徳にどんどん寄っていきました。はたから見たらヤバいやつです。バリヤバい。

意地でも眼鏡から変えなかったのは、向井秀徳になりたかったからです。あとゴッチとか。

口調に関しては、いつの間にかよっていたみたいです。そりゃ中学の時から聴いていたらそうなるわ。

大学では念願の軽音学部に入りました。頑張って練習していたゲットアップルーシーとかCIBICCOさんとかを部室で弾いていました。先輩とは仲良くなれました。ただ、同年代からの理解は得られなかった。

しかし、Number Girlは4回生の時に1度しかできませんでした。今思えばもっとやりたかった。大学時代は大体ミッシェルのコピバンをやっていました。僕はチバだった。そして、高校の友達がアベだった。先輩を無理やり誘ってやっていた。

その、1度だけやったNumber Girlも、「鉄風鋭くなって」はまだわかるけれども、「NUM-AMI-DUBUTZ」をやってしまったのはやりすぎである。歌詞を覚えるために、バイト中に口ずさんでいたので、完全に不審者である。

ただ、このコピバンで出たライブで、知らない人のブログでめちゃくちゃほめてもらえたのはすごく嬉しかったです。あの時の僕は完全に向井秀徳だった。

Number Girlを好きな女の子とも仲良くなった。しかし、いつの間にか連絡を取れなくなってしまった。付き合ってもいなかったので、どうというわけでもないですが。きっとあの娘は透明少女。

そんなこんなで大学を卒業し、社会人になってしまいました。バンドはできていないけれど、ギターは弾いています。曲も少し作っています。初めてZAZEN BOYSのライブにも行けました。向井秀徳ソロも見に行けました。

来月からは福井に行きます。しかし、僕はバンドを組みます。ナンバガが復活したこの年しかないと思っています。バンドを組めなくても一人でもライブに出ます。

キンミヤのレモンチューハイの2杯目を飲みながら書いているので、文章は支離滅裂の殴り書きです。すいません。だけれども、今日中に文章にしたかった。

僕にNumber Girlを教えてくれた中学の友達と、RISING SUNに行く予定を立てている。チケットの抽選は申し込んだ。会社は必ず有休をとる。とれなかったら辞める。

僕たちの止まっていた青春が今動き出そうとしている。

今日はずっとNumber Girlを聴いている。

f:id:kamibuki:20190215232158j:plain

Galileo Galilei アルバムレビュー Part1~雨のちガリレオ~

2月になってしまいました。

僕は福井への転勤が決まり、否応なくライブと離れてしまう生活が目前へと迫ってきています。

そんな時だからこそ、僕は僕の好きなバンドのいったいどこが好きなのか、確認の意味も込めて、今まで聴いてきたモノたちをレビューしていこうと思います。

手始めには、僕が大好きな、まさに青春とも呼べるGalileo Galileiのアルバムについてレビューを書いていきたいと思います。これ終わるのか…。

 

まず、Galileo Galilei初の全国流通盤である「雨のちガリレオ」について書いていきます。僕の青春の思い出とともに語られることでしょう。レビューというより、僕の超個人的な感想と、いかにGalileo Galileiが好きかという事が語られていく気がします。

雨のちガリレオ(2009)

f:id:kamibuki:20190206220116j:plain

 Galileo Galilei閃光ライオット(現 未確認ロックフェス)初代王者となり、閃光レーベルからリリースした1枚。確か閃光レーベルからも1枚目のリリースだったんじゃないかな。

僕がこのアルバムを購入したのは発売してからしばらくたってからだったと思います。閃光ライオット2009のコンピを買うタイミングで買ったもんね、確か。

そもそも、Galileo Galileiを知ったきっかけというのが、彼らが優勝した次の年の2009年の閃光ライオットでのことでした。

昨年王者という事で、2009年夏のSCHOOL OF LOCKで彼らの曲が流れてきて衝撃を受けたのを今でも覚えています。「ハローグッバイ」を始めて聴いた時の衝撃といったら、色んな音楽を聴いてきた今までの人生の中でも一番だったと思います。

当時僕は中学2年生。RADWIMPSおしゃかしゃま」に魅了され、邦楽ロックの海へ泳ぎだそうとしている中学2年生でした。

そんな多感な時期に、Galileo Galileiというバンドに出会えたのは非常に幸福なことであったと、僕は今でも確信しています。

そんな彼らの、僕が初めて聞いた作品です。間違いなく、僕の音楽の趣味及び人格形成への影響があるアルバムです。

 

1.管制塔

まずこの1曲目、Galileo Galileiとして初めて作ったこの曲、「管制塔」です。メジャーファーストアルバム「パレード」にはこれのアコースティックVerが収録されているんですが、僕はやっぱりこっちの方が好きですね…。

このすさまじい初期衝動、まさに「青い春」という言葉がぴったりの曲になっています。

初期Galileo Galileiの良さの中でも、やはり「歌詞」は重要な位置を占めていると僕は思っています。

誰もが感じていた大人になることの不安、どうあがいたって未来は来てしまう。それでもやってくる未来を受け入れようという決意。それが、ポップでありながらも前につんのめったようなテンポのメロディと見事にマッチしていて、どこかへ走り出したくなるような、そんな感情を呼び起こす曲になっています。

この曲は、やはり彼らが高校生だったからこそ作れた曲だし、初めてだったからこそ作れた曲なのかもしれないですね。

今でもこれを聴くと、あの夏の晴れた青空を思い出してしまいます。

 

 

2.Swallow

2曲目はこちらも軽快なロックナンバーのSwallow。僕はこの時初めてSwallow=燕という事を知りました。

Galileo Galileiの隠れた名曲。隠れすぎててこれ好きだという人にはほとんどあったことがないです。僕はイントロの最初の方とかAメロとかのハネた感じのベースが超好きです。

間違いなく、このアルバムでは「管制塔」「ハローグッバイ」と並んで評価されるべきいい意味で青い歌だと思うんです。まあ、曲中で「青い春」ってフレーズも出てきますからね…。

当初はくるりアジカンといった邦楽ロックバンドのコピーから始まった彼ら。そんな、いわゆるオルタナティブロック的なモノへのあこがれから管制塔とかこの曲は作られてるんじゃないでしょうか。

この曲も結構明るいサウンドとは裏腹に、未来への焦燥とか気ままに生きていたいとか、言っていることは割とネガティブなのがまたいいですよね。この曲が好きになったから僕は後々ART-SCHOOLとかSyrup 16gとかが好きになったのかもしれない。

根本にあるテーマは「管制塔」と一緒なのかな。これら2曲が並んで収録されているのがなるほどといった感じです。

 

3.PIXIE

このアルバムの3曲目、前2曲がメッセージ性の強い歌詞だったのが一変、語感を意識したファンタジーな歌詞になっています。この時点で彼らが一筋縄ではいかないバンドだという事がわかるはず。

変な曲だなあと思って聞いていると、クセになってくる、不思議な魅力がありますね。サウンドは正直なのに歌詞で変化球投げてくるのは、当時僕が聴いていた邦楽ロックとしてはかなり異質にも感じました。

ただ、彼らとしてはこのころからやはり洋楽はすでに好きだったということで、歌詞にとらわれない、ロックバンドとしての音の良さというものを表現したかった結果がこれなのかなとも思います。

まあ、尾崎雄貴の後々の作詞を見ていると、どんどん抽象的で幻想的な作風になっていくので、その片鱗がここですでに出ていたのかもしれないですね。

ただ、サビの中毒性はこのアルバムでも一番あると思います。すぐに覚えて、すぐに歌える。

 

4.扇風機

このミニアルバムの中でもかなり異質な、めちゃくちゃ暗い曲です。これが去年「閃光ライオット」を優勝したバンドかよ…。

他の楽曲みたいに全然ポップじゃないし、かといって泣かせにかかるようなバラードでもないし、赤裸々に自身の心情を吐露するようなささくれだった歌詞、サウンド尾崎雄貴の闇の部分が描かれている初期では珍しい作品ですよね。

明らかに売れることよりも自分のやりたいことをやっている感じですかね。

聴いてた当時の僕はこの曲だけが嫌いでしたが、年を取るにつれて「いいじゃん…」ってなりました。こんな息の詰まるような楽曲を作ることが、10代でできるのが十分に脅威だったと思います。ただ、当時のファン層からはあまり理解を得られなかったのかもしれないですね。

しかし、最初からこれほどの振り幅、懐の深さというものを出せるバンドっていうのはそうそう出てこないんじゃないでしょうか。僕はそう思います。

 

5.Mondays7s

こちらもいっそう語感を意識した楽曲となっています。この歌詞はハイロウズとか意識してるのかな。メロディはだいぶキャッチ―で聴きやすいですね。

なんか、キメちゃってる感がかなりある曲で…。春の幸せをオーバードーズしすぎるとこんな感じなのかなと思います。当時の彼らの精神状態を割と危惧してしまうような感じですね。

ただこのアルバム、コーラスがいっぱい入ってたり、最後にはトランペットが入っていたりで、今作の中でもかなり遊び心にあふれた一曲であると思います。しかも、実はこのトランペット、尾崎雄貴が吹いてるんですよね。確か吹奏楽部だったしね。

みんなもこの曲でPALAPAになってぐるぐるしてほしいですね。

 

6.ハローグッバイ

今作大本命。Galileo Galileiの中でも屈指の名曲。この曲1曲だけでも閃光ライオットを優勝できたと思うほどの歌詞とメロディの完成度。この曲だけでもこのバンドは伝説となれたと思いますね。(ただ、後々彼らはセルフリメイクしているのですがそれも海外インディ/ドリームポップ色が強くなっていてメチャいい。)

www.youtube.com

日本の楽曲史上、これほど「青春の青さ、儚さ」を的確に表現できた曲はあるんでしょうか。

報われない僕たちは何気ない会話の中に救いを求めてしまうんだよなぁ…。

どうでもいい会話を君としている時が一番幸せを感じられたんだよなぁ…。

そんな拗らせた僕らの気持ちを代弁してくれたのが尾崎雄貴であり、Galileo Galileiだったんですよね。当時中学生だった僕は「わかる」の一心でこの曲をラジオから聴いていました。

ハローとかグッバイをあの娘と交わせるだけで、あの頃はとんでもなく嬉しい気分になれたのに。今聴くと致死量のノスタルジーに殺されそうになりますね。

しかも、この歌詞、尾崎雄貴とベースの佐孝仁司との電話のやり取りから生まれたと聞いて、マジで天才だなと思いました。逆に幻想の中でのやり取りだから、夢の中のような儚い感じが出ているのかなとも思いました。

この曲がなければ僕はGalileo Galileiをここまで好きになっていなかったと思いますし、青春のベストトラックを挙げるなら間違いなくこれが1位だと思います。同率でナンバーガールIGGY POP FUNCLUBがあります。

そして僕の人生への莫大な影響を与えた楽曲でもあります。

 

7.ねるら村の感謝祭

今作屈指に意味の分からない曲であり、ハローグッバイで終わらせておけばきれいに終わったところなのに、この曲を入れてくるのがやはり遊び心であり、彼らの音楽への探求心の表れだったのかなと思います。

今作、大体の楽曲がアッパーなロックチューンといった感じなのにいきなり最後で分類不能な曲を入れてくるのが本当にすごい。この一曲がこのミニアルバムを今でも聴こうとなってしまう要因だと思っています。

まず、ねるら村というのが全然わからないのですが、それでも聴いていると気分が高揚してきます。キャンプファイヤーとかの燃える火を見つめているとなんだかテンション上がってきますよね。あの感じです。たぶん当時のライブではすごい盛り上がる曲だったんじゃないかと予想しています。

また、尾崎雄貴のシャウトや祭囃子を聴くことのできる貴重な音源となっています。このためだけにでもこのアルバムは買う価値があるかもしれない。

ていうか、このころ酒飲めない年齢なのになんでこんな泥酔した曲作れるんですかね…。そこらへんも含めてやっぱりすごい。

 

以上、「雨のちガリレオ」のレビューでした。

全体的にまだまだ粗く、文字通り「青い」楽曲が多いのですが、遊び心やたぐいまれなるメロディセンス、そして音楽への愛があふれている作品だと思います。ただ、このアルバムのイメージが後々の彼らを苦しめることになったのかもしれないですね…。

余談ですが、このジャケットのヘンな犬みたいなのは「アメラブ」といって尾崎雄貴が描いたオリジナルキャラクターです。初期の頃は描いた絵をホームページにアップしたりしていて、僕はそれが好きでした。覚えている人がいるかわかりませんが…。

 

次回は「ハマナスの花」について書こうと思います。いつになるかはわかりません!!こうご期待!!

2018年 音楽ベスト 邦楽編

今年もこのほとんど動いていないブログに年間ベスト書いてみようかなという事で

晦日が始まって1時間たった現在、この文章を打ち込んでいますが、年内に投稿

できたらいいな…

 

今年は、皆さんにとってどんな1年でしたか。僕は、社会人になりモラトリアムが強制終了し、過ぎ去りし日々に思いを馳せながら何とか生きています。

ただ、お金は増えたんで、CD買ったりライブに行ったり、レコード買ったりライブに行ったりと、割と充実して過ごしていたと思います。まあ、大体一人で行っているんですけど。

あとは、今年からエモとかマスロックと呼ばれるジャンルを聴くようになりました。stiffslackありがとう。

 

前置きはこれぐらいにして、次からは、僕が今年いいと思ったアルバムのご紹介です。画像からアマゾンに行けたりできるかもです。洋楽は後で書きます。

 

揺らぎ/Still Dreaminng,Still Deafening

f:id:kamibuki:20181231164108j:plain

 

個人的、今年大躍進したバンドこと揺らぎの初の全国流通盤です。

ジャンルはシューゲイザー、ヤバい音楽を作っています。

うねる轟音の中にある繊細な旋律、静と動の美しいコントラスト、「揺らぎらしい」確固たるサウンドのオリジナリティ、このバンドが今後のシューゲイザーのスタンダードとなっていくはず。特に、㎩th of the Moonlit Nightのような10分ぐらいの曲をしっかり聴かせられる構成で作れちゃうのは、バンドの実力の高さがあってこそだと思うし、最後の盛り上がりは鳥肌モノです。個人的にはドラムがサウンドの要になっているような気もします。

夏の京都レコ発の時は、お客さんいっぱい入ってて、いいものはやっぱ評価されるんだなと。

今、ライブを体感すべきバンドだと思うので、みんなライブ行ってね。僕は今年3回行った。君も行け。

去年も言ってたけど、滋賀からこんな素晴らしいバンドが出るとは思わなかったです。マジ滋賀の誇り。これからも応援してます。

 

トロデイ/マシン・ザ・ヤング

f:id:kamibuki:20181231165829j:plain

こちらも去年の記事で書いていたニトロデイ、今年ついにファーストアルバムが出ました。一言で表すと、「僕の青春」って感じ、10曲に凝縮された青春。うだるような夏に、どうしようもなく胸の内がモヤモヤしていた、でも音楽は好きな、そんなころの僕がそこにはいたようでした。

トロデイの音楽は、どうしようもないことや日頃感じるイライラや、ふと思い出す胸を締め付けられる記憶を、キャッチ―かつヒリついたサウンドで演奏しているから、僕は魅力を感じてしまうんでしょうね。(何を言っているんだ)

正直、伝説となっていくバンドになると思います。僕が思う今ライブを見に行くべきバンドトップ3の1つです。さっきの揺らぎもそうです。もう1つは後で出てきます。

トロデイがいることは、今の僕の希望です。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION/ホームタウン

f:id:kamibuki:20181231170046j:plain

Wonder Futureから約3年、ソルファ再録から2年、久しぶりのアジカンのニューアルバム、やっぱりアジカンはいいっすね。当たり前ですけど。

アジカンは割と前から、音圧があるバンドではあると思っていたのですが、今作はより音が分厚い感じがしますね。どっかで聞いた話だと、低音域の処理なのかなとのことだが、その辺はあまり詳しくないのでわかりません。

アジカンを始めて聴いたのは中学生の時ですが、そのころ聴いてたバンプ、ラッドとかはもう聴かなくなってしまったのに、アジカンはずっと聴いていますね、なぜか。

今のアジカンは年齢も重ねてきて、落ち着いて貫禄が出てきたなあと思います。もちろんいい意味で。

これからも、新しいこと試みとかに挑戦してもらいたいですね。個人的には、もっかいマジックディスク的なものを作ってほしい…。

 

uri gagarn/For

f:id:kamibuki:20181231170208j:plain

group_inou MCのcpのバンド、こちらは今年初めて知りました。

group_inouの時からそうなんですが、僕は意味がありそうで意味のなさげな、独特の歌詞が好きで、その感じが「遅いようで速い」「速いようで遅い」サウンドに見事にマッチして、この言葉に出すのが難しい魅力につながっているのかなと思います。

曲を聴く中でわずかに感じる違和感、そしてその違和感が癖になる感じ。そういった意味では、少しPavementにも似ているのかなと思います。

最初に聴いた時は「静かなアルバムだなあ」と思ったのに、次に聴いた時には「全然激しいじゃん」となったり、聴くたびに印象が変わっていく不思議なアルバムです。いろんなジャンルを飲み込みながら、どこのジャンルにも属していないような感じですね。

 

くるり/ソングライン

f:id:kamibuki:20181231170425j:plain

待ちに待ったくるりのニューアルバムですよ。日本国民は全員聴け。

いやマジで、くるりのアルバムは数あれど、これは新しいくるりのスタンダードになるんじゃないのかなと思いますね。人に教えるときはこれをまずおすすめしていきたい。くるりはアルバムごとにいろんな方向性になるので、勝手に和製Primal Screamとか思ってたりしてるんですが、今回はそんなくるりのいままでやってきたことが凝縮されていると感じました。東京OPとソングライン一緒のアルバムに入ってて違和感ないのがほんとすごい。

2月にライブ観た時に、今作に入っている曲がいっぱいやってたんですけど、その時「全部名曲じゃん…」って感じだったので、年内に聴けたのはとてもよかったです。岸田さんに感謝です。

「その線は水平線」のギターは個人的ベスト・オブ・ギターサウンド2018です。

 

MASS OF THE FERMENTING DREGS/No New World

f:id:kamibuki:20181231170644j:plain

マスドレ8年ぶりのアルバムです。初めて聞いたのは確か高校生の時で、知ったころには活動休止していたバンドで、まさかリアルタイムでニューアルバム聴けるとは思いませんでしたね。全編通して、破壊力抜群かつキャッチ―なサウンドを軸にして、そこにVo奈津子さんの声が乗ると、もうそれだけでうれしくなっちゃいますよね。

突き抜けるような歌声を聴いてるだけで、いやなこと全部吹っ飛んでいきます。

あと、ライブを見て思ったんですが、「マスドレの音は強い」という感想を抱きました。バンドサウンドに強固な意志が乗っかている様でした。あとギターの音がすさまじく良いです。僕もあんなギターサウンドを鳴らしたいですね…。

スローモーションリプレイはみんな聴いてくれ。

 

小袋成彬/分離派の夏

f:id:kamibuki:20181231170806j:plain

今年1番の衝撃のアルバム。日本全国の音楽リスナーに衝撃を与えたんじゃないですかね。

サウンド、歌詞、歌声、それらすべてが合わさって1冊の小説のような印象を僕は覚えました。普段、僕は「語り」とかが入っているアルバムはあんまり聴かない、というか好きではないんですが、このアルバムではそれらの「語り」が効果的に働いていて、アルバム全体の雰囲気を作るのに必要なものとなっていると感じました。

邦楽の名盤として語り継がれるべきアルバムだと思いますね。

これは、一種の純文学なんじゃないのかなと思います。「愛の漸進」の歌詞、

「月が綺麗」を一番正しく使っているんじゃないでしょうか。

 

POLY LIFE MULTI SOUL/cero

f:id:kamibuki:20181231171016j:plain

皆さんベストに挙げているアルバムですね。僕も挙げちゃいました。

実際最高だからしょうがない。

正直、今までceroはちゃんと聴いたことがなかったんですけど、こんなヤバいバンド今までスルーしてしまってたことに後悔しましたね。

どこか掴みどころのない奇妙な楽曲が展開されているのですが、何故か非常に癖になっていしまう。「魚の骨、鳥の羽根」初めて聞いた時は衝撃でしたね。一時期YouTubeでこればっか聴いていた時期がありました。

聴いていると問答無用で体が動かされる感じ。これはもうダンスミュージックアルバムだと、僕は思います。

 

jizue/ROOM

f:id:kamibuki:20181231171131j:plain

僕が多分一番ライブを見に行っているバンド、jizueのメジャーファーストアルバムです。昨年、ビクターからメジャーデビューして、今年は8年ぶりのフジロックのステージでTwitterのトレンド入りをしたりと、今グングン知名度が上がってきているバンドだと思います。

今作、今までの中でも特にバラエティ豊かな一枚となっています。「elephant in the room」のような複雑な変拍子からのスリリングな楽曲構成の曲もあれば、「green lake」のような非常にゆったりとした、情感豊かな楽曲もあり、初めてjizueを聴く人にも名刺代わりになるし、今までのファンにとっても最高のアルバムとなっています。

インストバンドなので歌詞はない曲がほとんどです。ただ、音だけで感情や風景を伝えられる稀有なバンドだと思います。特にライブがすごい。いま日本で一番ライブを見に行かなければならないバンドだと個人的には思っています。

ライブ見に行った方がいいバンドトップ3は揺らぎ、ニトロデイ、jizueなのでみんな見に行ってね。

 

Bird Bear Hear and Fish/Moon Boots

f:id:kamibuki:20181231171247j:plain

皆さんご存知、元Galileo Galileiメンバーが名前を変え、新しいバンドを始めました。

BBHFは僕らの希望。

昨年、warbearというソロプロジェクトが始まっていたので、しばらくはバンドがあるとは思っていなかったのでしばらく動きはないだろうと思っていたので、このバンドの始動はメチャ嬉しかったですね。狂喜乱舞です。

このアルバム、1曲目の「ウクライナ」の歌詞、

「君の好きな曲はやらない 彼らはやらないよ」

という一節があるのですが、初めて聴いた時はドキッとしてしまいました。

今回、Galileo Galileiのメンバーがそのまま名前を変えて始めたバンドなので、「Galileo Galilei再結成」と捉えた人もいたんじゃないでしょうか。僕も正直そうでした。ただ、彼らは当時の焼き直しではなく、やりたくてもできなかったことをこのバンドでやろうとしているのだと思います。もっと新しいことを、もっとやりたいことを、そのような決意がこの1文に込められているのかなと勝手に思ったりしていました。

音楽のアプローチ的にはすごい洋楽っぽい、でも歌詞は全部日本語、そんなミスマッチ感もこのバンドの魅力だと思いますね。尾崎雄貴は僕らの想像を毎回超えてくれる。

全曲こだわりぬかれたサウンド、聴いていて非常に気持ちがいい。さらに、それに加えてかなりポップで聴きやすくなっているんじゃないかと思います。聴くだけでハッピーになれるよ。CD買おうね。サブスクでもいいよ。

 

 

とりあえず、これが僕の今年聴いた中で特にいいなと思ったやつです。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

洋楽のベストの方は年明けになりそうです…。本当に申し訳ない。

来年もよろしくお願いします。

My Bloody Valentine ライブ@SONIC MANIA

 

夢のような時間だった。

現実を忘れ、いつまでもあの空間にいたいと思ってしまう

そんな時間だった。

 

マイブラのライブは、

全編を通して大音量だった。

情報によると110dbぐらいあったとか。

そりゃ、耳栓配られますね。

しかし、実際はそれほど耳栓が必要ない

モノだったと思う。

まあ、僕の耳が悪いだけかもしれないが。

 

隙間を塗りつぶすような轟音ギター、

さほど聞こえない漂うようなボーカル

タイトなドラムと骨太なベース

甘いメロディー、独特の浮遊感

 

僕が高校2年生の時、

初めてマイブラを聴いた時の

衝撃、感動がそこにはあった。

 

凶暴な音を出してはいるが、

それでいてなぜか安心感がある。

プロジェクターに映る、

サイケデリックな映像

午前2時スタートという時間帯

夢と現実の境界が曖昧になっていくような

不思議な感覚だった。

 

特に、ラストのYou Made Me Realize、

ノイズに包まれるというのはこんなにも

気持ちよかったのか

自分がどこにいるのかわからなくなるような感覚

意識がノイズで塗りつぶされて、

何も考えられなくなる。

10分弱、ひたすらノイズを聴くという

体験に体は震えた、物理的に。

先輩の話によると、

ペットボトルの水ではなく、

ペットボトル自体が震えていたらしい。

ヤバすぎ。

 

ライブが終わり、

人の流れに流されるまま

会場の外に出る。

どこか放心状態のまま、

ビールと中トロ丼を買い、

さっきまで見ていた

マイブラは本当に現実だったのかと

思ってしまう。

 

はっと目が覚めて

さっきまでのことは夢だったのかと

わかる感覚に似ている気がした。

 

終わった後、

先輩は思ったより音がパンクだった

と言った。

僕は、どちらかと言えば

サイケデリックアンビエント

と思った。

おそらく、マイブラの音楽は、

こうした様々な要素がごちゃ混ぜにされて

混沌とすることによって生まれるのでは

ないでしょうかと思いました。

 

未だ、残響が耳に残っている気がする

ほんの12時間前の出来事なのに

遠い昔のような感覚に陥る

滋賀から見に行った甲斐があった。

 

音の波の中を泳ぐようなあの感覚は、

たぶん他のバンドでは作り出せない。

また、マイブラが来日したら、

僕は行くことになるでしょう。

今日の夢にも出るかもしれませんね。

 f:id:kamibuki:20180818172045j:plain