臆病な自尊心と部屋とYシャツと私

音楽の事を主に書きます。

Galileo Galilei アルバムレビュー Part1~雨のちガリレオ~

2月になってしまいました。

僕は福井への転勤が決まり、否応なくライブと離れてしまう生活が目前へと迫ってきています。

そんな時だからこそ、僕は僕の好きなバンドのいったいどこが好きなのか、確認の意味も込めて、今まで聴いてきたモノたちをレビューしていこうと思います。

手始めには、僕が大好きな、まさに青春とも呼べるGalileo Galileiのアルバムについてレビューを書いていきたいと思います。これ終わるのか…。

 

まず、Galileo Galilei初の全国流通盤である「雨のちガリレオ」について書いていきます。僕の青春の思い出とともに語られることでしょう。レビューというより、僕の超個人的な感想と、いかにGalileo Galileiが好きかという事が語られていく気がします。

雨のちガリレオ(2009)

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 Galileo Galilei閃光ライオット(現 未確認ロックフェス)初代王者となり、閃光レーベルからリリースした1枚。確か閃光レーベルからも1枚目のリリースだったんじゃないかな。

僕がこのアルバムを購入したのは発売してからしばらくたってからだったと思います。閃光ライオット2009のコンピを買うタイミングで買ったもんね、確か。

そもそも、Galileo Galileiを知ったきっかけというのが、彼らが優勝した次の年の2009年の閃光ライオットでのことでした。

昨年王者という事で、2009年夏のSCHOOL OF LOCKで彼らの曲が流れてきて衝撃を受けたのを今でも覚えています。「ハローグッバイ」を始めて聴いた時の衝撃といったら、色んな音楽を聴いてきた今までの人生の中でも一番だったと思います。

当時僕は中学2年生。RADWIMPSおしゃかしゃま」に魅了され、邦楽ロックの海へ泳ぎだそうとしている中学2年生でした。

そんな多感な時期に、Galileo Galileiというバンドに出会えたのは非常に幸福なことであったと、僕は今でも確信しています。

そんな彼らの、僕が初めて聞いた作品です。間違いなく、僕の音楽の趣味及び人格形成への影響があるアルバムです。

 

1.管制塔

まずこの1曲目、Galileo Galileiとして初めて作ったこの曲、「管制塔」です。メジャーファーストアルバム「パレード」にはこれのアコースティックVerが収録されているんですが、僕はやっぱりこっちの方が好きですね…。

このすさまじい初期衝動、まさに「青い春」という言葉がぴったりの曲になっています。

初期Galileo Galileiの良さの中でも、やはり「歌詞」は重要な位置を占めていると僕は思っています。

誰もが感じていた大人になることの不安、どうあがいたって未来は来てしまう。それでもやってくる未来を受け入れようという決意。それが、ポップでありながらも前につんのめったようなテンポのメロディと見事にマッチしていて、どこかへ走り出したくなるような、そんな感情を呼び起こす曲になっています。

この曲は、やはり彼らが高校生だったからこそ作れた曲だし、初めてだったからこそ作れた曲なのかもしれないですね。

今でもこれを聴くと、あの夏の晴れた青空を思い出してしまいます。

 

 

2.Swallow

2曲目はこちらも軽快なロックナンバーのSwallow。僕はこの時初めてSwallow=燕という事を知りました。

Galileo Galileiの隠れた名曲。隠れすぎててこれ好きだという人にはほとんどあったことがないです。僕はイントロの最初の方とかAメロとかのハネた感じのベースが超好きです。

間違いなく、このアルバムでは「管制塔」「ハローグッバイ」と並んで評価されるべきいい意味で青い歌だと思うんです。まあ、曲中で「青い春」ってフレーズも出てきますからね…。

当初はくるりアジカンといった邦楽ロックバンドのコピーから始まった彼ら。そんな、いわゆるオルタナティブロック的なモノへのあこがれから管制塔とかこの曲は作られてるんじゃないでしょうか。

この曲も結構明るいサウンドとは裏腹に、未来への焦燥とか気ままに生きていたいとか、言っていることは割とネガティブなのがまたいいですよね。この曲が好きになったから僕は後々ART-SCHOOLとかSyrup 16gとかが好きになったのかもしれない。

根本にあるテーマは「管制塔」と一緒なのかな。これら2曲が並んで収録されているのがなるほどといった感じです。

 

3.PIXIE

このアルバムの3曲目、前2曲がメッセージ性の強い歌詞だったのが一変、語感を意識したファンタジーな歌詞になっています。この時点で彼らが一筋縄ではいかないバンドだという事がわかるはず。

変な曲だなあと思って聞いていると、クセになってくる、不思議な魅力がありますね。サウンドは正直なのに歌詞で変化球投げてくるのは、当時僕が聴いていた邦楽ロックとしてはかなり異質にも感じました。

ただ、彼らとしてはこのころからやはり洋楽はすでに好きだったということで、歌詞にとらわれない、ロックバンドとしての音の良さというものを表現したかった結果がこれなのかなとも思います。

まあ、尾崎雄貴の後々の作詞を見ていると、どんどん抽象的で幻想的な作風になっていくので、その片鱗がここですでに出ていたのかもしれないですね。

ただ、サビの中毒性はこのアルバムでも一番あると思います。すぐに覚えて、すぐに歌える。

 

4.扇風機

このミニアルバムの中でもかなり異質な、めちゃくちゃ暗い曲です。これが去年「閃光ライオット」を優勝したバンドかよ…。

他の楽曲みたいに全然ポップじゃないし、かといって泣かせにかかるようなバラードでもないし、赤裸々に自身の心情を吐露するようなささくれだった歌詞、サウンド尾崎雄貴の闇の部分が描かれている初期では珍しい作品ですよね。

明らかに売れることよりも自分のやりたいことをやっている感じですかね。

聴いてた当時の僕はこの曲だけが嫌いでしたが、年を取るにつれて「いいじゃん…」ってなりました。こんな息の詰まるような楽曲を作ることが、10代でできるのが十分に脅威だったと思います。ただ、当時のファン層からはあまり理解を得られなかったのかもしれないですね。

しかし、最初からこれほどの振り幅、懐の深さというものを出せるバンドっていうのはそうそう出てこないんじゃないでしょうか。僕はそう思います。

 

5.Mondays7s

こちらもいっそう語感を意識した楽曲となっています。この歌詞はハイロウズとか意識してるのかな。メロディはだいぶキャッチ―で聴きやすいですね。

なんか、キメちゃってる感がかなりある曲で…。春の幸せをオーバードーズしすぎるとこんな感じなのかなと思います。当時の彼らの精神状態を割と危惧してしまうような感じですね。

ただこのアルバム、コーラスがいっぱい入ってたり、最後にはトランペットが入っていたりで、今作の中でもかなり遊び心にあふれた一曲であると思います。しかも、実はこのトランペット、尾崎雄貴が吹いてるんですよね。確か吹奏楽部だったしね。

みんなもこの曲でPALAPAになってぐるぐるしてほしいですね。

 

6.ハローグッバイ

今作大本命。Galileo Galileiの中でも屈指の名曲。この曲1曲だけでも閃光ライオットを優勝できたと思うほどの歌詞とメロディの完成度。この曲だけでもこのバンドは伝説となれたと思いますね。(ただ、後々彼らはセルフリメイクしているのですがそれも海外インディ/ドリームポップ色が強くなっていてメチャいい。)

www.youtube.com

日本の楽曲史上、これほど「青春の青さ、儚さ」を的確に表現できた曲はあるんでしょうか。

報われない僕たちは何気ない会話の中に救いを求めてしまうんだよなぁ…。

どうでもいい会話を君としている時が一番幸せを感じられたんだよなぁ…。

そんな拗らせた僕らの気持ちを代弁してくれたのが尾崎雄貴であり、Galileo Galileiだったんですよね。当時中学生だった僕は「わかる」の一心でこの曲をラジオから聴いていました。

ハローとかグッバイをあの娘と交わせるだけで、あの頃はとんでもなく嬉しい気分になれたのに。今聴くと致死量のノスタルジーに殺されそうになりますね。

しかも、この歌詞、尾崎雄貴とベースの佐孝仁司との電話のやり取りから生まれたと聞いて、マジで天才だなと思いました。逆に幻想の中でのやり取りだから、夢の中のような儚い感じが出ているのかなとも思いました。

この曲がなければ僕はGalileo Galileiをここまで好きになっていなかったと思いますし、青春のベストトラックを挙げるなら間違いなくこれが1位だと思います。同率でナンバーガールIGGY POP FUNCLUBがあります。

そして僕の人生への莫大な影響を与えた楽曲でもあります。

 

7.ねるら村の感謝祭

今作屈指に意味の分からない曲であり、ハローグッバイで終わらせておけばきれいに終わったところなのに、この曲を入れてくるのがやはり遊び心であり、彼らの音楽への探求心の表れだったのかなと思います。

今作、大体の楽曲がアッパーなロックチューンといった感じなのにいきなり最後で分類不能な曲を入れてくるのが本当にすごい。この一曲がこのミニアルバムを今でも聴こうとなってしまう要因だと思っています。

まず、ねるら村というのが全然わからないのですが、それでも聴いていると気分が高揚してきます。キャンプファイヤーとかの燃える火を見つめているとなんだかテンション上がってきますよね。あの感じです。たぶん当時のライブではすごい盛り上がる曲だったんじゃないかと予想しています。

また、尾崎雄貴のシャウトや祭囃子を聴くことのできる貴重な音源となっています。このためだけにでもこのアルバムは買う価値があるかもしれない。

ていうか、このころ酒飲めない年齢なのになんでこんな泥酔した曲作れるんですかね…。そこらへんも含めてやっぱりすごい。

 

以上、「雨のちガリレオ」のレビューでした。

全体的にまだまだ粗く、文字通り「青い」楽曲が多いのですが、遊び心やたぐいまれなるメロディセンス、そして音楽への愛があふれている作品だと思います。ただ、このアルバムのイメージが後々の彼らを苦しめることになったのかもしれないですね…。

余談ですが、このジャケットのヘンな犬みたいなのは「アメラブ」といって尾崎雄貴が描いたオリジナルキャラクターです。初期の頃は描いた絵をホームページにアップしたりしていて、僕はそれが好きでした。覚えている人がいるかわかりませんが…。

 

次回は「ハマナスの花」について書こうと思います。いつになるかはわかりません!!こうご期待!!