臆病な自尊心と部屋とYシャツと私

音楽の事を主に書きます。

Galileo Galilei アルバムレビュー Part2~ハマナスの花~

前回のレビューからかなりの時間がたってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

僕は24歳になってしまいました。そして、福井の田んぼの真ん中に引っ越しました。

レコードが段ボール1箱じゃ収まらなくなってたのは、我ながら戦慄しましたね…。

 

この間に、Number Girlが再結成したり、自身のバンドがようやく結成できたりと、いろいろなことがありましたが、いいかげん文章を書かなければと思い、今机に向かっています。

ようやく落ち着きを取り戻してきたので、今回のレビューをやっていきます。

 

BBHF ライジングサン出ないかなあ。

 

さて、今回はGalileo Galileiのメジャーデビューミニアルバム

ハマナスの花」についてのレビューになります。

 

ハマナスの花(2010)

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怒涛の快進撃でついにメジャーデビュー、メンバーは全員まだ10代、バンドドリームですね。(まあ、閃光ライオットの優勝でメジャー入りは確実だったのでしょう)

まだまだ、若さたっぷり、青さたっぷり、これぞ青春といえるようなサウンドをしていますが、前作「雨のちガリレオ」から、バンドサウンドとしてのまとまり・クオリティは格段に上がっていっていますね。

インディーズ時代の作品は良くも悪くも「荒削り」でありましたが、今作までの1年間でサウンドメイク・ソングライティングの向上、ハード面の充実もあり、どんどん磨かれてきているなという印象を、改めて聴いていて感じました。

そして、今作からは2代目ギターである岩井郁人(ex:Guild、FOLKS)が加入しています。

メジャーデビュー~PORTAL期にあたって、バンドのサウンドメイク面で大きな役割を果たしていたと思います。脱退後に結成したFOLKSとか聴くと、他メンバー3人と共通したもの(当時だと海外インディ―志向かな)を目指していたのだろうなという事がわかると思います。

最初に知り合ったのは、閃光ライオット北海道3次予選だったとのことだったので、北海道の音楽文化ってやっぱ独特だなってなりますね。そこが好き。

あと、このアルバムを聴くとき、僕はOasisの「Definitely Maybe」を思い出してしまいます。ロックスターとかOasisについての曲らしいですからね。(当時のGo!Go!Guitarのインタビューに載っていた気がする。)

全体的にUK色が強いアルバムなのかなと思います。

 

1.ハマナスの花

ロックンロールな初期衝動。確か、auのリスモのCMソングだったと思います。(このころのリスモ、選曲が良かったよね…)

「ハローグッバイ」や「管制塔」では、どちらかといえばギターはクリーントーンアルペジオって感じで、歌が中心にいたような感じでしたが、いきなり歪ませたギターリフをぶち込んできてますね。岩井君が加入したという事ももちろんあるのでしょうが、「俺たちはこれからやっていくぞ」という心意気が曲から伝わってきますね。そう思いませんか。

なんだか、どこか投げやりな歌詞も、ざらざらとした演奏と見事にマッチしています。このころから、自分たちのやりたかったことと、周囲とのギャップを感じていたのかもしれないですね。

この曲で地上波初登場という感じで、Mステにも初出演しており、僕的には超テンションが上がっていたのですが、周りにわかってくれる人が少なく、感動を共有できなかったのが悔やまれますね…。

サビでポップになるのが、目の前がぱっと明るくなるようで僕は好きです。

 

2.胸に手をあてて

いきなり、「僕はきっと大きなことをしてやろう」という一文。10代の頃なら誰だって思ったであろうことが端的に表されているなあ、と今聴いていていて思います。

具体的には何がやりたいとは思っていないんだけど、「有名になりてえ」とか「ちやほやされてえ」とか、絶対高校生の頃とかみんな妄想してたでしょ。隠さなくていいんだよ。

そんな、10代のモヤモヤを歌にしてくれるのは、このころのGalileo Galileiの魅力であったと思いますね。

前曲とは違い、サウンド面ではとっつきやすいポップな感じになっているんですが、わりと歌詞はジメジメしているというか、ある意味この時彼ら「夢」をかなえているという状況だと思いますが、わりと切羽詰まっている、生き急いでいるイメージを受けてしまうのは僕だけなんでしょうか。

何とか、目の前の壁をぶち壊したい、そんな破壊衝動がこの曲からは伝わってくるように僕は感じてしまいます。

それが、ロックンロールなのだと僕は思います。

 

3.Answer

Oasisi知ってる人なら、「Wonder Wallじゃん!」となってしまう曲の入り方。当時、僕はOasisまだそんなに聴いていなかったので、あまり感じませんでしたが、今聴くと、「ああ、Oasisだ…」となってしまいますね。

彼らのUKロックへの愛が炸裂している痛快な1曲に仕上がっていると思います。

そうして聴いてみると、バッキングのギターコードの広がり方というのは、すごいOasisっぽいかなと思ってします。何気にしっかりアコギをちゃんと取り入れているのはこの曲が初めてなのかもしれない。

「どうやったら僕たちは どこへでも行けるように なるんだろう」という1文は、青春映画の1シーンに出てきても遜色がないほどの、全国の10代が持っている普遍的な感情だと思うんですよね。僕たちがあの頃かかえていた、どうしようもない感情に対してのアンサーソングなのだと、僕は個人的に思っています。

どうやったって、答えは出ないし、それでも前に進んでいくしか選択肢はないんだという、そんなどうしようもないことを、こんな僕の大好きなサウンドに乗せられたら、もう胸がいっぱいになってしまいますよね。

初期Galileoの中でも屈指の名曲です。

 

4.フリーダム

 このアルバムでは一番とっつきやすい感じのサウンド、女性コーラスを効果的に取り入れている、このアルバムの中で1番ポップなんじゃないでしょうか。

今の場所は退屈で、春が訪れるとき特有の、なんとなく何でもできそうなあの気持ちでここから飛び出していこうぜと、当時北海道から東京に出てきた彼らの心境が一番反映されている曲だと思います。

「春風の魔法」というのが、何でもやってしまえそうなあの気持ちのことを表しているのだと、僕は思います。春が過ぎたら、いつの間にか消えてしまっていますものね。

個人的に、女性コーラスが入っているGalileoの曲はめちゃくちゃ好きなんですが、こちらに関しては、曲のテーマである「春」に非常にマッチしているといいますか、軽やかなChimaさんの歌声が頬を撫でる柔らかい春風のようです。

まさに、春へと移り変わろうとしている3月中旬ぐらいの時期に、ピッタリな曲です。

春風の魔法が解ける前に僕らも飛び出していかなければならないですね。

 

5.Ч・♂.P

デビューアルバムでいきなりインスト曲を入れてくるんですよこのバンド…。

読み方は「アメラブ」と読みます。尾崎兄弟の考案した「アメラブくん」というキャラクターの絵文字に上下逆にすれば見えるというのは、Galileo Galileiファンの皆さんならご存知ですよね。(僕は最近まで知らなかった。)

最初になんか気の抜けた「おねがいしゃーす」という声から始まるこの曲、人懐っこい印象的なギターリフからどんどん展開されていく曲の構成、他の曲と比べてラフな、一発どり感のあるサウンドメイキング、粗削りでありつつも緻密さを感じさせます。

めちゃくちゃ展開させるので、この曲が今作で最長の曲になっています。最高かよ。

不思議と気分が高揚してくる、テクニックで押し切るんではなくて、思い浮かんだ展開やリフをこれでもかと詰め込んでくるので、おもちゃ箱みたいで聴いていてとても面白いですよ。

インストあまり聴かない人にも聴いてほしい。そしてtoeとかにハマってほしい。

このあたりから、インスト曲を1作品ごとに何かしら入っていたりする時期が続き、シングルのカップリングにも必ずと言っていいほどインスト曲が入っていました。彼らのインスト曲も僕は大好きなので、いつかシングルの曲とかのレビューも書こうかな。

 

6.ロックスター

今作のラストの曲、ここで歌われているロックスターとは、たしかインタビューによればオアシスのリアム・ギャラガーとのことなのですが、各自自分の思うロックスターを心に浮かべて聴けばいいんじゃないかな。

ロックスターとは何なのか、それは概念であり、多くの場合はなりたくてもなれない、空想上の存在に近いものだと僕は思っています。

ライブでステージ上に立つ、音源の向こうでしか聴いたことのない演奏を生で見たとしても、それは白昼夢のようにいつの間にか終わり、記憶はやがて薄れて消えていってしまう。

そんな存在に自分自身がなれる、なれる可能性がある、というのが当時の彼らの状況だったと思います。

バンドマンからすれば、間違いなく大成功のプロセスをたどってきている初期Galileoですが、この曲からは、自分のあこがれの存在、「ロックスター」になれるかもしれないという高揚感と、本当に理想になれるのか、という不安が入り混じっているように思います。

 売れるためにはポップで万人受けするような曲を作らなければならない、しかし、自分の理想とするロックスターは万人のための音楽ではなく、自分のカッコいいと思うことを貫いている。

君(=自分の理想)と夢(=バンドで成功すること)を大事にできるか。

理想と現実のギャップについても歌われているのかなと僕は邪推してしまいます。

彼らの音楽的意識が高かったからこそ作られた葛藤の曲でもあるのかなと思います。

 

 

さて、お久しぶりのレビューでした。もっと更新の頻度を上げていかなければいけない、と思いつつ、曲作りをしているとついついそちらに時間を使ってしまいますね。

いよいよ暑くなってくる季節、彼らの楽曲が映える季節がやってきますね。

次回のレビューは1stフルアルバムであり、第1期終了の終了を告げる作品「パレード」の予定です。時期は未定!乞うご期待!