2020年 音楽ベスト
お久しぶりです。
お久しぶりのブログ投稿です。
久しぶりすぎて僕がかつてブログをちょこっと書いていたことなんて皆さん忘れてしまったのではないでしょうか。
僕はそれなりに元気ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
年末なので実家に帰ってきましたが、あまりやることもないのでこうしてブログを書こうと思っています。
思えば2020年という年は、無の年だったかと思います。
ライブはことごとく延期・中止になり、フェスはほぼ全滅、スタジオに集まるのもままならない状況だったのではないかと思います。僕は7割ぐらいは部屋にいたんじゃないかと思うぐらいどこにも行けなかった年でした。
(心の均衡を保つため、この期間に僕はApexとカレーにハマりました。)
コロナウイルスという驚異が世間を席巻していた2020年、ライブ活動はほとんど延期に追い込まれ、もはや何が正解でどれが不正解なのかもわからない状況の中、この年に新作をリリースしてくれたアーティストにはホントに感謝しかないです。
例年以上に、辛く長い1年だったと思いますが、
例年以上に、僕は音楽に救われた年だったと思います。
前置きはこれぐらいにして、今年僕が聞いた新譜について、感想的なものをつらつらと書いていこうかと思います。
よろしければお付き合いいただけますと幸いです。12枚ぐらいあります。
- Charlotte is Mine/SOMEDAY IN THE BREAKFAST
- Into It,Over It./Figure
- Lostage/HARVEST
- Owen/The Avalanches
- Tago & Magos/So! Fun? Now!
- Pygmy I’m cricket/this morning e.p.
- Sorry/925
- BBHF/南下する青年
- SuiseiNoboAz/3020
- eastern youth/2020
- Discharming man/POLE & AUROLA
- Climb The Mind/蕾
Charlotte is Mine/SOMEDAY IN THE BREAKFAST
東京の女性SSW、nana furuyaさんのソロプロジェクトとなっているCharlotte is Mineのセカンドアルバム。前作「IN SOMEWHERE NIGHT」から1年ぶりのアルバムとなります。
僕はまだCharlotte is Mineでのライブは見たことがないのですが、昨年11月のIIOIの来日弾き語りライブでの新宿NINE SPICEでのOpening Actで演奏されておられたのをよく覚えています。早くバンドセットでのライブが見たい…。
海外のエモ/インディーロックに強く影響を受けたであろう明るさの中に少しの寂しさを感じさせる楽曲、シンセポップやドリームポップのような思わず口ずさみたくなるような浮遊感のあるメロディライン、そしてガラス細工を透過する日差しのような温かで透明な歌声。
まだ眠っていたいけど起きなければならない、冬の朝の温かい布団の中から連れ出してくれるような最高のポップアルバムです。
個人的にお気に入りの曲は「群青」で、YouTubeにはデモ音源も公開されているのですが、デモの時点ですでに完成度がメチャクチャ高いので是非聴いてから音源版を聴いてもらいたい。
Into It,Over It./Figure
皆さんご存じUSインディー/エモリバイバルの最重要人物、いいと思ったエモ/マスバンドには大体参加していることでおなじみ、Evan Weissのソロワーク、Into It,Over Itの待望の新作がついに今年リリースされました。
今作も歌心溢れる、聴いた人々をハッピーにさせる楽曲、すべてにおいて隙がありません。めちゃくちゃ楽しそうに演奏する光景が目に浮かぶようです。
ギター難しいことしてるのに、それを感じさせない演奏力も圧巻ですね。
今までの作品だと「Proper」が一番好きだったんですが、更新されちゃいましたね。
アンサンブルのアレンジ、感情を頂点までもっていく高揚感のある歌声・構成、どれをとっても一級品です。みんなに聴いてほしい。
「Courtesy Greeting」とかもうライブで見たい。早く見たい。
IIOIは弾き語りで来日している2回を見に行っていて、超絶技巧ギターを弾きながら、ハンパなくウマい歌をニコニコしながら歌っていたのがとても印象に残っています。
バンドセット早く見たい…。
「超サイコー」
Into It. Over It. - "We Prefer Indoors" (official video)
Lostage/HARVEST
現在進行形でカッコよさを更新し続けるジャパニーズロックバンドfrom奈良ことLostageの待望の新作です。
こちらフィジカルで出す前に、コロナ真っ只中の5月に先行でBandcampにてリリースされていたものですね。ほんとにあの時は救われました。パソコンの前で泣きました。
今作からVo/Baだった五味岳久さんが今作からVo/Gtとなり、ベースは新メンバーを迎え4人体制となって初のアルバムです。
昨年の年末のNeverland忘年会に行ったときには、すでに何曲か演奏されていて、とてつもなく楽しみだったのですが、期待を上回るクオリティでお届けしてくれましたね…。一家に一枚HARVEST。
Lostage史上、歌が、最も優しいアルバムだと思います。
「グレイアイドフィッシュ」はコロナとか言われる前に作られていた曲だったと思うのですが、サビの一節は今の僕たちに必要な言葉だったのではないでしょうか。少なくとも僕は救われました。
滲む孤独を 溢れ出した苛立ちを
洗い流してくれよう
あなた、わたし、きみとぼくの
なお、ストリーミングでは配信していないので、CDを買おう。
LOSTAGE / HARVEST ( CD ) - THROAT RECORDS
僕はLP買いそびれてしまったので、再プレスを待ちます。
Owen/The Avalanches
これはもう説明不要かと思いますが、レジェンドエモバンドAmerican Footballの中心人物、というかエモと呼ばれるジャンルを語る上で絶対に外せない最重要人物、Mike KinsellaのソロユニットOwenの新作です。
解説記事とかを読んでいると、結婚とその崩壊について語られているとのことですが、僕は英語がわからないので歌詞については分かりません。いつかはちゃんと理解できるようになりたい。
Mike Kinselaといえば変則チューニングから繰り出される美しいクリーンアルペジオが特筆されますが、本作もそれを十二分に味わうことができます。
この美しい旋律と憂いを帯びたボーカルが合わさることによって、凪いだ海のように穏やかな、それでいて孤独を感じるような冷たさがあるような、そんな印象を受けます。
音だけで泣ける。
American Footballも2020年来日する予定だったんですが、次回はいつになることやら…。早く生で拝みたいものです。
Tago & Magos/So! Fun? Now!
昨年から僕は転勤で福井に住んでいるのですが、引っ越した当初ぐらいにTwitterで知った福井のバンド、Tago & Magosの待望の1stアルバムです。
メンバー全員音楽好きなので、もう作る曲に関しては間違いないですよね。
SUPERCARのような男女コーラスもあり、海外インディーロック感もあり、サイケなギターリフもあり…。
多種多様な音楽が混ざり合った結果としてインディーロックっぽくなってしまったというバンド紹介も納得な、広大な音楽的バックボーンを感じさせてくれるアルバムとなっていると思います。
全体的にポップで聴きやすいのですが、ところどころ「そう来るか!」というフックがちりばめられているので、明るいおもちゃ箱みたいな印象を受けます。聴いてて楽しい。
また、タゴマゴはライブがメチャクチャいいので、いろいろ落ち着いたら皆さん福井まで見に来ましょう。
どれぐらいいいかというと、オーディション勝ち抜いてりんご音楽祭にも出演するぐらいいいです。
Tago&Magos『net surfin'』@りんご音楽祭2019
Tago&Magos 「Saturday Kids」Official Music Video
Pygmy I’m cricket/this morning e.p.
東京を中心に活動するインディー/エモバンド、Pygmy I’m cricketの待望の新作です。
前作「Separation e.p.」からさらにブラッシュアップし、クオリティがさらに上がっています。出会えたことに感謝…。
エモ/ポストロックを基調としたギターサウンドに、歌心あるボーカルが乗っかてくる。bedやClimb The Mind、CARD、Hello Hawkなどのジャパニーズエモバンドたちの影響を感じさせつつ、PenfoldやAmerican Footballのような美しく歌心のあるメロディが合わさり、もう脱帽するしかありません。僕がやりたかったですよう、こういうバンド…。
また、Gtを担当している齋藤翔馬さんの作詩についてもサウンドと非常にマッチしていています。
「青く時は巻き戻る」「白く焼けた空」「茜射す身体」などといったカラフルでノスタルジックなワードがちりばめられており、鮮やかな風景が目の前に広がっていきます。また、一貫して記されていると思われる「孤独な自分」というテーマとの対比によってより一層浮かび上がってくる、もう戻れない昔日に思いを馳せ、切なさで胸いっぱいになります。個人的な感想。
どこか諦念と達観を含んだ日本語詞とエモーショナルなアンサンブルが組み合わさって、聴き手を感情の海へ放り出してしまいます。
早くライブを見に行きたいですね。
CDはHoliday! Recordsで売っているので買いましょう。
Sorry/925
今年初めて聞いたUKインディーロックユニット、Sorryの1stアルバムです。
バンド名の意味は特にないそうです。
最初に聴いた時の感想としては「The Killsみたいだなあ」ということを思っていたのですが、所属レーベルがArctic MonkeysとかThe Killsが所属するドミノレコーズだというので納得ですね。
アルバムを通して、一貫して怪しげな印象がありますが、グランジ、オルタナ、ローファイ、ヒップホップなど多様な音楽性を内包しているように感じられ、聴くたびに新たな発見があるようなアルバムとなっております。
男女ボーカルでダークな印象があると、大体Sonic Youthが思い浮かんでしまいますね。
ただ、現在海外ではBillie Eilishみたいなダークポップが評価されているような感じだと思っているので、今後売れていくかもしれないですね。むしろ売れてほしい。めちゃくちゃかっこいいので。
これからがとても楽しみなアーティストです。
BBHF/南下する青年
BBHF(Bird Bear Hare and Fish)の待望の2ndアルバムです。これGalileo Galilei時代から考えても最高傑作なんじゃないでしょうか。
前作のMoon Bootsに関しては、これもかなりいいアルバムだったんですが、どちらかといえば邦楽っぽさが強いような印象を受けました。本作はThe 1975のような海外のバンドシーンで鳴っているようなサウンドの仕上がりになっていて驚愕しましたね…。日本語でここまでできるのか。
Galileo Galileiのラストアルバム、Sea and The Darknessから地続きになっている入魂のアルバムになっていると感じました。
彼らがメジャーシーンで音楽的にこだわった作品を作り続けてくれることが、僕にとっての日本の音楽シーンの希望です。
また、「南下する青年」というタイトル通り、「流氷」から始まり「太陽」で終わる、寒いところから暖かい場所へ移り変わっていくような楽曲構成となっているのも、青年と一緒に南へ旅をしているように感じられます。
長い冬が過ぎるのを待つのではなく、自ら暖かな場所へ進んでいこうというメッセージも作品を通して感じられて、勝手に勇気付けられています。
SuiseiNoboAz/3020
向井秀徳プロデュース1stアルバム「SuiseiNoboAz」から10年、前作「liquid rainbow」から3年、冷凍都市の喧騒の中、僕たちを救ってくれるSuiseiNoboAzの新作です。
リードトラック「3020」を筆頭に、1000年後の未来について思いを馳せ、また時間は循環し2020年へ戻ってくる。本作は宇宙であると僕は思います。
前作で培った方法論、それをさらに進化させ深めてきたサウンドには説得力しかないです。
liquid rainbowは助けてくれないけれど、それでも僕たちは、3020年までずっと友達でいよう。いつか泥臭い川べりでビールを飲もう。
ボアズなりの優しさに溢れた、最高のアルバムだと思います。
eastern youth/2020
日本最高峰のエモーショナルロックバンド、eastern youth通算18枚目のアルバムです。ニノさん脱退後からは2枚目のアルバムとなりますね。
世界の終わりのようなどうしようもない現状で、ナニクソと思わせるような轟音アルバムを届けてくれているeastern youthには感謝しかありません。
一切歌詞の中で、頑張ろうだとか頑張れだとかいうストレートな表現は一切使っていないのに、どこか寄り添ってくれているように感じます。
世界に対して無力である自分と、それでも続いていく生活の徒然を、跳ねのける様にヒリついた焦燥サウンドに乗せて歌っている、とてもeastern youthらしいアルバムとなっていると思います。最高。
時代感も相まって、最初聴いたときはマジで泣きます。
現代に必要なアーティストです。
そういえば、以前Outside Yoshino公演の時に、物販で吉野さんと少しお話をした時、Sunnがブッ壊れたから今はFender のThe Twinを使っているとおっしゃっておられて、Sunnユーザーの僕としては少し寂しくなりました。まあ、どうでもいい話ですが…。
これもサブスクリプションは無いので、CDを買いましょう。
https://www.amazon.co.jp/2020-eastern-youth/dp/B08C7772L1
eastern youth「今日も続いてゆく」 ミュージックビデオ
Discharming man/POLE & AUROLA
現行ジャパンオルタナティブの極北、北の大地から現実を見つめた無垢な歌を発信し続ける蛯名啓太率いるDischarming man5年ぶりのアルバムです。
轟音と轟音の隙間に差し込まれる静寂、メタル、ハードコア、エモなど様々な音楽を通過していることでしか出せない音像、説得力しかない。年の瀬にとんでもないアルバムが発売されましたね。
蛯名さんの紡ぐ言葉は僕たちを現実を突きつけ、鋭利に突き刺してきます。
ただ、それでも突き放すことはなく、その歌声は力強く、温かに寄り添ってくれます。
僕たちはこのままでいいのだろうか。
そう悩みながら生きていくとことが必要で重要であるという気持ちになります。
ライブ後に握手した蛯名さんの大きな掌を、今でも思い出します。
Discharming man -Discharming man (Official Music Video)
Climb The Mind/蕾
名古屋の至宝Climb The Mind、今年ついに4枚目となる新作「蕾」が発売されました。発売はもちろんStiff Slack。ジャパニーズエモーショナルロックの金字塔ですよ。
独立した短編小説のような1つ1つの歌詞、美しいアルペジオを奏で、時には激しく搔きむしるギター、縦横無尽に駆け回るベース、タイトかつアグレッシブなドラム、それらが複雑に絡み合っていき、聴き手はいつの間にか泣いています。
サウンド面はもちろんなのですが、僕が特に好きなのは歌詞の部分で、その一節ごとの完成度の高さには毎回驚いてしまいます。本作は特に唄が中心になっている気がします。
「言いそびれた終わりの一言は、いつも胸のどこか」(ヒューマンビーン)
「いつでも何度でも忘れられないから、悲しみを数えるたびに思い返してしまう」(アーチをくぐれば)
「翳りもないこの今日の空は、きれいな君の送りもの。翳りもないこの思い出は、最後の君の忘れ物。」(ペーパームーン)
いつかは誰しもに訪れてしまう別れ、涙をぬぐって僕たちは前に進んでいって、いつかはまた新しい出会いがある。ここでは「人生」が歌われているんだと思います。
アルバムを最初に聴いた時、感情の整理が追い付かなかったのは初めての経験でした。何回も聴いてどんどん良くなっていきます。「ほぞ2」と呼ばれているのにも納得です。
胸が苦しくなって、それでも聴いた後には洗い流されたように少し胸が軽くなる、本当にとても素晴らしいアルバムだと思います。今後僕はことあるごとに聴くアルバムとなるでしょう。みんな聴いて。
希くば、その岐路に立っててね、一緒に。(蕾)
こちらもサブスクリプションはやっておりませんので、Stiff SlackでCDを購入しましょう。
さて、ここまで長々とレビューらしきものにお付き合いいただいた方、誠にありがとうございました。
気づけば7,000文字近くになっていたので、自分でも驚きです。
虚無の年末を潰すために書いたこのブログですが、誰かの暇つぶしになれば幸いです。
2021年はどんな年になるでしょうね。
僕は自分のバンドであるalong the beachにて、そろそろ音源を出したいと思いながら早半年ぐらいが経過しておりますので、2021年内には何かしらの動きをする所存でございます。京都付近でドラムの知り合いがいる方がいらっしゃったら教えて下さい。ドラムが全然見つからないので…。
あと、そろそろ彼女ができるように努力したいです。頑張るしかない。誰かアドバイスを下さい。
ブログの次回更新は未定!
また気が向いたら何かしら更新します。
それでは、今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。